仕入や販売の現場では、商品の返品や返金が発生することは珍しくありません。しかし、その処理を「仕入戻し」や「売上戻り」として正しく区分できていないと、売上や仕入の金額が不正確になり、利益計算にも影響を及ぼします。特に、仕入割戻や仕入値引など似た概念も多く、実務では混同しやすい点に注意が必要です。
本記事では、仕入戻しと売上戻りの違いを整理したうえで、具体的な事例や仕訳例を交えながら、実務で押さえておきたいポイントや注意点をわかりやすく解説します。
目次
仕入戻しとは?
仕入戻しとは、仕入先から購入した商品を何らかの理由で返却し、仕入代金の減額処理を行う取引です。企業が商品を仕入れた後でも、不良品の混入や数量違い、注文内容との相違などが判明した場合には、そのまま受け入れず返品対応を行うことがあります。
この際、当初計上した仕入高を取り消す、または減額するために用いられる会計処理が仕入戻しです。例えば、100個発注した商品が90個しか納品されず、残り10個分を請求されていた場合には、不足分について仕入戻しとして調整するケースがあります。
仕入戻しを適切に処理しないと、仕入原価や在庫金額が実態とずれてしまい、利益計算にも影響します。そのため、返品理由や数量、返金方法などを確認し、証憑を残したうえで正確に記帳することが重要です。
商品の返品とは?
商品の返品とは、一度受け取った商品や販売した商品を、取引先や顧客へ戻すことです。返品は仕入側と販売側のどちらでも発生し、品質不良や破損、誤納品、サイズ違いなどさまざまな理由によって行われます。企業活動では一定数の返品が生じることは珍しくなく、実務では返品の事実を確認したうえで、売上や仕入の修正処理を行う必要があります。
例えば、販売した衣料品について顧客からサイズが合わないとの申し出があり、商品を回収して代金を返す場合は売上返品に該当します。一方で、仕入先から届いた商品に傷があり受け入れできないとして返送する場合は仕入返品にあたります。
返品は単に物を戻す行為ではなく、在庫数量や請求金額、会計帳簿にも影響する取引です。そのため、返品日や理由、対象商品を明確にし、社内ルールに沿って処理することが求められます。
商品の返金とは?
商品の返金とは、受け取った代金の全部または一部を購入者へ返還することです。返品とあわせて行われることが多いものの、返金は金銭の授受に着目した処理であり、必ずしも商品回収を伴うとは限りません。
たとえば、商品に軽微な傷が見つかったものの使用には問題がなく、顧客がそのまま使用を希望した場合、値引き対応として一部返金するケースもあります。このように返金には、返品に伴う全額返金と、トラブル対応としての一部返金の両方があります。会計上は返金理由によって売上値引や売上戻りなど、適切な勘定科目を検討することが大切です。
例えば、納品後すぐに不具合が判明し商品を回収したうえで代金を返す場合は、売上戻りとして処理することがあります。返金処理を誤ると売上計上額や消費税計算にも影響するため、内容を整理して対応することが重要です。
仕入戻しと売上戻りの違い
仕入戻しと売上戻りの違いは、自社が仕入側の立場か販売側の立場かにあります。仕入戻しは、自社が仕入先から購入した商品を返品し、計上済みの仕入額を減額する処理です。
一方、売上戻りは、自社が得意先へ販売した商品が返品され、計上済みの売上高を減額する処理を指します。どちらも返品に伴って発生する点は共通していますが、修正する勘定科目が異なるため区別して記帳しなければなりません。
例えば、仕入先から届いた商品に破損があり返送した場合は仕入戻しとなり、販売先へ納品した商品に不具合があり返品を受けた場合は売上戻りとなります。両者を混同すると、売上総利益や仕入高の数字が実態と合わなくなるおそれがあります。そのため、誰から誰へ商品が戻った取引なのかを確認し、立場ごとに適切な会計処理を行うことが大切です。
仕入戻しが必要な理由と事例
仕入戻しが必要な理由として、以下のようなシーンがあります。
- 納品された商品に不良品や破損があった
- 発注内容と異なる商品が届いた
- シーズン終了後の返品可能な季節商品が売れ残った
ここでは、それぞれの理由における事例を紹介します。
納品された商品に不良品や破損があった
納品された商品に不良品や破損があった場合は、仕入戻しが必要になる代表的なケースです。企業は販売や業務利用を前提として商品を仕入れるため、正常に使用できない商品をそのまま受け入れると、販売機会の損失や顧客対応の負担につながります。
そのため、検品時に品質不良や輸送中の破損が確認されたときは、仕入先へ連絡し、返品や交換の手続きを進めるのが一般的です。例えば、外箱は問題ないものの内部の商品に傷があり販売できない場合や、精密機器が作動しない状態で届いた場合には、仕入戻しとして処理することがあります。
このとき、当初計上した仕入高を減額し、返品数量や理由を帳簿や証憑に残しておくことが重要です。不良品対応をあいまいにすると、在庫数と実物が一致しなくなるだけでなく、仕入原価にもズレが生じます。再発防止のためには、検品体制や配送方法について仕入先と見直す視点も欠かせません。
発注内容と異なる商品が届いた
発注内容と異なる商品が届いた場合は、契約した条件と納品実態に差があるため、仕入戻しを検討する必要があります。企業間取引では、商品名や型番、色、サイズ、数量などを指定して発注するのが通常であり、内容が一致しなければ予定していた販売や業務に支障が出ることがあります。
そのため、納品時には注文書や発注データと照合し、相違があれば早めに仕入先へ連絡することが大切です。例えば、黒色の商品を依頼したにもかかわらず白色の商品が届いた場合や、100個注文したところ別規格の商品が納品された場合には、そのまま受け入れず返品対応となることがあります。
この際は、誤納品分について仕入戻しとして仕入額を調整し、正しい商品を再納品してもらう流れが一般的です。誤納品を放置すると在庫管理や請求内容にも影響するため、受入時点での確認体制を整えておくことが実務上重要です。
シーズン終了後の返品可能な季節商品が売れ残った
シーズン終了後の返品可能な季節商品が売れ残った場合は、契約条件に基づいて仕入戻しを行うことがあります。季節商品は販売期間が限られており、需要のピークを過ぎると販売機会が急速に減少する傾向があります。
そのため、アパレル用品やイベント関連商品、夏冬限定の商品などでは、一定期間内であれば売れ残り分を返品できる条件で仕入契約を結ぶケースがあります。例えば、冬物商材を多めに仕入れたものの暖冬の影響で販売数が伸びず、期末時点で在庫が残った場合、返品可能数量の範囲内で仕入先へ戻すことがあります。
このとき、返品した商品分の仕入高を減額する処理が仕入戻しです。売れ残り在庫を抱え続けると保管コストや値下げ販売の負担が増えるため、契約内容を確認しながら適切に対応することが重要です。事前に返品条件や期限を把握しておくことも欠かせません。
なお、アパレル業界における経理についてはこちらの記事も参考にしてください。

売上戻りが必要な理由と事例
売上戻りが必要な理由として、以下のようなシーンがあります。
- 販売した商品に欠陥や不具合があった
- サイズ違いなど顧客都合で返品が生じた
- 輸送中の破損などで商品の価値が失われた
ここでは、それぞれの具体的な事例について紹介します。
販売した商品に欠陥や不具合があった
販売した商品に欠陥や不具合があった場合は、売上戻りが必要になる代表的なケースです。企業は正常に使用できる商品を提供する責任があるため、初期不良や品質上の問題が判明したときは、返品受付や返金、交換などの対応を行う必要があります。
問題のある商品を放置すると、顧客満足の低下だけでなく、信用面にも影響するおそれがあります。そのため、返品を受けて代金を返還する場合には、すでに計上した売上高を減額する売上戻りとして処理します。例えば、家電製品が電源不良で使用できなかった場合や、部品欠損により本来の機能を果たせなかった場合には、回収のうえ返金対応となることがあります。
会計上は、返品日や返金額、対象商品の内容を記録し、売上との対応関係を明確にすることが重要です。あわせて、仕入先や製造工程の見直しを行い、同様の不具合を防ぐ体制づくりも求められます。
サイズ違いなど顧客都合で返品が生じた
サイズ違いなど顧客都合で返品が生じた場合も、条件に応じて売上戻りの対象となります。小売業や通販事業では、商品自体に問題がなくても、利用者の事情によって返品が発生することがあります。特に衣料品や靴、家具などは、実際に使用してみないと適合性が分かりにくく、返品ポリシーを設けて販売している企業も少なくありません。
例えば、衣類を購入した顧客から思っていたサイズ感と異なるとして返品依頼があり、未使用かつ返品期限内であれば受け付けるケースがあります。この場合、受け取っていた代金を返還し、計上済みの売上高を減額するため、売上戻りとして処理することになります。
返品条件を明確に定めずに対応すると、顧客との認識違いや社内処理の混乱につながります。そのため、事前に利用規約や返品期限、送料負担の取り扱いを整備し、統一的に運用することが大切です。
なお、小売業における経理についてはこちらの記事をご覧ください。

ECサイトなど通信事業の経理はこちらの記事でまとめています。

輸送中の破損などで商品の価値が失われた
輸送中の破損などで商品の価値が失われた場合は、売上戻りが必要になることがあります。商品は出荷後に配送業者を通じて顧客へ届けられますが、その過程で落下や圧迫、水濡れなどの事故が起こることがあります。到着時点で商品が使用できない状態であれば、顧客は受け取りを拒否したり、返品を申し出たりする可能性があります。
そのため、販売側が返金対応を行う場合には、すでに計上した売上を取り消す処理が必要です。例えば、ガラス製品が配送中の衝撃で割れて到着した場合や、食品が輸送トラブルにより品質保持できなくなった場合には、返品のうえ返金となるケースがあります。
この際は売上戻りとして帳簿を修正し、破損原因に応じて配送会社への補償請求を検討することもあります。再発防止のためには、梱包方法や配送手段の見直しも重要です。
なお、運送業の経理はこちらの記事でまとめています。

仕入戻しや売上戻りと混同しやすい仕訳
仕入戻しや売上戻りは返品に伴う処理ですが、実務では代金調整を行う似た取引も多く存在します。「仕入割戻(リベート)」「仕入割引」「仕入値引」などがあげられます。ここでは、これらの仕訳について詳しく解説します。
仕入割戻(しいれわりもどし:リベート)
仕入割戻(しいれわりもどし:リベート)とは、一定期間の取引数量や購入金額などの条件を達成した際に、仕入先から代金の一部が戻される取引です。商品そのものを返品するわけではなく、販売促進や継続取引への報奨として支払われる点が、仕入戻しとの大きな違いです。
例えば、年間購入額が一定水準を超えたため、後日リベートとして現金を受け取るケースがあります。この場合は返品処理ではなく、仕入高の減額や雑収入など、会社の会計方針に沿って処理します。
返品が伴わないにもかかわらず仕入戻しとして記帳すると、在庫数量や取引内容の整合性が崩れるおそれがあります。そのため、契約書や請求書の名目を確認し、数量条件による還元なのか、返品による精算なのかを見極めることが重要です。継続的に発生する場合は、月次決算でも漏れなく把握できる体制を整える必要があります。
仕入割引
仕入割引とは、買掛金などの支払期日前に代金を支払ったことにより、仕入先から支払額を減額してもらう取引です。商品の品質や数量とは関係なく、早期入金への対価として認められる点が、仕入戻しや仕入値引とは異なります。
例えば、月末締め翌月末払いの条件だった請求を、資金に余裕があるため当月中に支払った結果、代金の一部を差し引いて決済できる場合があります。このとき、返品が発生しているわけではないため、仕入戻しとして処理するのは適切ではありません。一般的には仕入割引勘定や営業外収益として処理する方法が用いられます。
内容を誤って仕入高の減額としてしまうと、仕入原価の比較分析に影響することがあります。そのため、請求条件や入金日、割引理由を確認し、資金決済に伴う優遇措置であることを理解して仕訳することが重要です。
仕入値引
仕入値引とは、納品された商品の品質低下や軽微な不具合、相場変動などを理由に、商品を返品せず購入価格だけを減額してもらう取引です。商品を戻す仕入戻しとは異なり、手元に商品を残したまま代金調整を行う点が特徴です。
例えば、外箱に傷があるものの販売や使用には問題がないため、そのまま受け入れる代わりに請求額を下げてもらうケースがあります。また、市況変化により納品直後に価格調整が行われる場合もあります。
このような場合は、返品処理ではなく仕入値引として仕入額を修正します。もし仕入戻しとして処理すると、実際には残っている在庫数量との整合性が取れなくなるおそれがあります。そのため、商品が返送されたのか、それとも価格のみ調整されたのかを証憑で確認し、実態に合わせて仕訳することが大切です。
なお、よく使う勘定科目は以下の記事でまとめて紹介しています。

仕入戻しの勘定科目と仕訳例
仕入戻しの勘定科目は、返品によって減少する仕入高を明確にするために用いられます。商品を掛取引で仕入れている場合は、返品分だけ買掛金を減額する処理が一般的です。
例えば、掛で購入した商品80,000円のうち、20,000円分に破損があり返品した場合は、返品分の支払義務を取り消す仕訳を行います。仕入戻しを正しく処理することで、仕入高や買掛金残高を実態に合わせることができます。返品数量や理由もあわせて記録し、帳簿と在庫の整合性を保つことが大切です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 20,000円 | 仕入戻し | 20,000円 |
なお、買掛金についてはこちらの記事も参考にしてください。

売上戻りの勘定科目と仕訳例
売上戻りの勘定科目は、販売済みの商品が返品された際に、計上済みの売上高を減額するために使用されます。掛売上を行っていた場合には、売掛金を取り消す形で処理することが一般的です。
例えば、得意先へ販売した120,000円の商品について不具合が見つかり、30,000円分が返品された場合は、その返品分の売上を修正します。売上戻りを適切に記帳することで、売上高や売掛金残高が正しい数値となり、月次決算や利益管理にも役立ちます。返品受付日や返品理由も残しておくことが重要です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売上戻り | 30,000円 | 売掛金 | 30,000円 |
なお、売掛金についてはこちらの記事もご参考ください。

仕入割戻の勘定科目と仕訳例
仕入割戻の勘定科目は、取引条件達成により受け取るリベートなど、仕入代金の一部返還を処理する際に用いられます。返品とは異なり商品はそのまま保有し、後日代金調整だけが行われる点が特徴です。
例えば、年間仕入額の条件達成により、仕入先から36,000円の割戻通知を受けた場合には、買掛金の減額または未収入金の計上を行います。仕入割戻を区別して処理することで、返品取引との混同を防ぎ、仕入条件ごとの収益性も把握しやすくなります。契約内容や通知書の保存も重要です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 36,000円 | 仕入割戻 | 36,000円 |
仕入割引の勘定科目と仕訳例
仕入割引の勘定科目は、買掛金を支払期日前に決済したことで受けた割引額を処理する際に使用されます。これは早期支払に対する優遇措置であり、返品や値引とは性質が異なります。
例えば、買掛金200,000円を期日前に支払い、10,000円の割引を受け、実際には190,000円を普通預金から支払った場合には、買掛金全額を消し込み、差額を仕入割引として処理します。こうした処理を正確に行うことで、資金繰り改善による効果も把握しやすくなります。支払条件の確認も欠かせません。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 200,000円 | 普通預金 | 190,000円 |
| 仕入割引 | 10,000円 |
仕入値引の勘定科目と仕訳例
仕入値引の勘定科目は、商品を返品せず受け入れたうえで、品質低下や数量不足などを理由に代金のみ減額してもらう場合に使用されます。商品が手元に残るため、仕入戻しとは区別して処理する必要があります。
例えば、掛で仕入れた150,000円の商品について外装不良があり、そのまま受け入れる代わりに15,000円の値引きを受けた場合には、買掛金を減額し仕入値引を計上します。価格調整の実態を反映できるため、在庫管理と会計処理の整合性を保ちやすくなります。交渉内容を記録しておくことも大切です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 15,000円 | 仕入値引 | 15,000円 |
仕入戻しと売上戻りの注意点とポイント
仕入戻しと売上戻りの注意点とポイントとして、以下のような点を意識しましょう。
- 返品の事実と理由を証憑で残す
- 取引先との契約条件を事前に確認する
- 返品や返金が頻発するなら業務フローを改善する
ここでは、それぞれの注意点とポイントについて詳しく解説します。
返品の事実と理由を証憑で残す
返品の事実と理由を証憑で残すことは、仕入戻しや売上戻りを適切に処理するうえで欠かせないポイントです。返品取引は、通常の売買とは異なり、すでに計上した売上や仕入を修正する性質があるため、口頭連絡だけで処理すると後から内容を確認できなくなるおそれがあります。
そのため、返品依頼書、返品受領書、メール履歴、返金明細など、取引内容を裏づける資料を保存しておくことが重要です。例えば、納品後に不良品が見つかり返品対応を行った場合でも、数量や返品日、破損理由が明確でなければ、会計処理や在庫調整にずれが生じる可能性があります。
税務調査や内部監査の場面でも、証憑が整っていれば取引の正当性を説明しやすくなります。担当者任せにせず、保存方法や申請手順を社内で統一し、誰でも確認できる状態にしておくことが実務上大切です。
取引先との契約条件を事前に確認する
取引先との契約条件を事前に確認することは、返品トラブルや不要な損失を防ぐために重要です。返品や返金の可否は、すべての取引で自由に認められるわけではなく、契約書や発注条件によって対応範囲が定められていることが少なくありません。
返品期限、送料負担、開封後の扱い、季節商品の返品条件などを把握していないと、想定していた対応が受けられない場合があります。例えば、売れ残った商品を返品できると思っていたものの、実際には未開封品かつ納品後30日以内に限られていたというケースもあります。
このような認識違いは、取引先との関係悪化や追加コストの発生につながります。契約締結時や継続取引の更新時には、返品条件を文書で確認し、社内の営業部門や経理部門とも共有しておくことが大切です。事前確認が、後のスムーズな対応につながります。
返品や返金が頻発するなら業務フローを改善する
返品や返金が頻発するなら、単発対応で終わらせず業務フローを見直すことが重要です。返品処理そのものは必要な対応ですが、同じ原因による返品が繰り返されている場合、販売や仕入、出荷、顧客案内などの工程に課題が潜んでいる可能性があります。
表面的に返金対応だけを続けても、人的負担や利益圧迫は解消しにくくなります。例えば、サイズ違いの返品が多いなら商品説明ページの表記不足、誤出荷が多いならピッキング体制の不備、不良品返品が多いなら仕入先の品質管理に問題があるかもしれません。
原因を件数や内容ごとに集計し、どの工程で改善できるかを検討することが大切です。経理部門にとっても返品伝票や返金処理の削減につながり、月次業務の効率化が期待できます。継続的に分析し、再発防止まで進める視点が求められます。
まとめ
仕入戻しと売上戻りは、どちらも返品に伴って発生する会計処理ですが、自社が仕入側か販売側かによって意味と仕訳が異なります。仕入戻しは仕入高を減額する処理であり、売上戻りは売上高を減額する処理です。両者を正しく区別しないと、売上総利益や在庫、買掛金・売掛金の残高にずれが生じ、決算数値の信頼性にも影響します。
さらに、仕入割戻や仕入割引、仕入値引など似た名称の取引もあるため、返品なのか価格調整なのか、支払条件による減額なのかを見極める視点も欠かせません。実務では、返品理由や数量を証憑で残し、契約条件を確認したうえで処理することが大切です。返品や返金が繰り返される場合は、会計処理だけでなく業務フロー全体の改善にも目を向けることで、経理精度と業務効率の両立につながります。
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仕入戻しに関するよくあるご質問
仕入戻しについてのお問い合わせを多くいただきます。ここでは、仕入戻しに関するよくあるご質問についてまとめて紹介します。
仕入戻しとは返品のことですか?
仕入戻しとは、仕入先から購入した商品を返品した際に行う会計処理を指します。そのため、単に返品という行為そのものではなく、返品に伴って仕入高や買掛金を修正する経理上の手続きを含んだ言葉です。不良品が納品された、数量が不足していた、注文と異なる商品が届いたといった場合の処理が仕入戻しにあたります。
仕入戻しの勘定科目は何ですか?
仕入戻しの勘定科目は、一般的に「仕入戻し」を用います。これは返品によって減少した仕入高を区分して管理するための科目です。掛仕入をしていた商品の一部を返品した場合は、借方に買掛金、貸方に仕入戻しを計上する形がよく用いられます。ただし、会社によっては「仕入」勘定を直接減額して処理することもあります。
売上戻りと仕入戻しはどう違うのですか?
売上戻りと仕入戻しの違いは、自社が販売側か購入側かという立場にあります。仕入戻しは、自社が仕入先から購入した商品を返品し、仕入高を減額する処理です。一方、売上戻りは、自社が得意先へ販売した商品を返品され、売上高を減額する処理です。どちらも返品に伴う会計処理ですが、勘定科目や影響する残高が異なります。