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経理担当者の6つの心構え!求められる素養や仕事内容と必要なスキルを解説
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経理担当者の6つの心構え!求められる素養や仕事内容と必要なスキルを解説

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企業の財務状況を支える経理担当者は、単なる数字の管理者ではなく、経営の意思決定を支援する重要な役割を担っています。しかし、専門知識の必要性や業務の複雑さから、優秀な人材の確保が難しいのが現状です。

 

本記事では、経理担当者に求められるスキルや日々の業務内容を整理し、さらに成長し続けるための「6つの心構え」を解説します。経理業務の本質を理解し、より戦略的な視点を持つことで、企業全体の成長に貢献しましょう。

 

経理担当者の人材確保が難しい理由

経理担当者の人材確保が難しい理由として、以下のような点があげられます。

 

  • 日本の生産年齢人口の減少
  • 専門知識と経験が求めらえる
  • 業界特性の理解が必要になる

 

ここでは、それぞれの理由や課題について詳しく解説します。

 

日本の生産年齢人口の減少

 

近年、日本では生産年齢人口の減少が深刻な問題となっており、多くの企業が人材確保に苦戦しています。特に経理のように専門性が高い職種では、経験を積んだ人材の不足が顕著です。

 

例えば、企業が経理担当者を採用しようとしても、そもそも求職者の絶対数が少なく、十分なスキルを持つ人材が限られているため、採用競争が激化しています。また、経理業務は一朝一夕で習得できるものではなく、実務をこなしながら経験を積む必要があります。

 

しかし、若年層の減少により新たな人材の育成が困難になっています。このような状況では、企業は未経験者を採用して育成するか、業務のデジタル化を進めるなどの対策を進めなければなりません。

 

専門知識と経験が求めらえる

 

経理業務は、単に数字を扱うだけでなく、簿記や税務、会計基準など幅広い専門知識が求められる分野です。例えば、企業の決算処理を行う際には、会計基準に則った適切な処理を行い、ミスがないよう慎重に進める必要があります。

 

税務に関しても、法人税や消費税の申告を正しく行うためには、最新の税制改正を把握し、適用できる制度を理解することが欠かせません。

 

しかし、長年の経験を積んだ専門知識を持つ人材は市場に多く存在するわけではなく、企業側は高い給与や柔軟な労働環境を用意しなければ、優秀な経理担当者を確保することが難しいのが現実です。

 

業界特性の理解が必要になる

 

経理業務は、業界ごとの特性に応じた対応が求められるため、単なる会計知識だけでは不十分です。例えば、製造業では原価計算が重要な業務のひとつであり、材料費や労務費、製造経費などを適切に管理しなければなりません。

 

一方、小売業では在庫管理や売上の計上方法に独特のルールや社内基準があり、業界特有の経理を理解していないと正確な業務を遂行することができません。さらに、IT業界ではソフトウェア開発の収益認識が複雑であり、長期プロジェクトの進捗に応じた経理の処理が求められます。

 

このように、業界によって必要な知識や処理方法が異なるため、経験の浅い経理担当者が即戦力として活躍することは難しく、特定の業界に精通した人材の確保が一層困難になっています。

経理担当者の役割と仕事内容

経理担当者の役割と仕事内容にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、経理担当者の業務を「日次業務(毎日の仕事)」「月次業務(毎月の仕事)」「年次業務(毎年の仕事)」に分けて解説します。経理の仕事へのイメージを深めていきましょう。

 

経理担当者の毎日の仕事(日次業務)

 

経理担当者の日次業務は、企業の資金の流れを正確に管理するために欠かせない重要な業務です。例えば、現金や預金の入出金管理では、売上の入金確認や取引先への支払い処理を行い、帳簿と実際の残高が一致しているかをチェックします。

 

また、経費精算も日次業務のひとつであり、従業員が立て替えた交通費や備品購入費などの申請内容を確認し、適切に処理する必要があります。さらに、請求書や領収書の整理も日々発生する業務であり、誤った金額で計上されていないか、不足している書類がないかを細かくチェックしなければなりません。

 

経理の日次業務はひとつでもミスが発生すると、月次決算や年次決算に影響を与えるため、迅速かつ正確な処理が求められます。

 

経理担当者の毎月の仕事(月次業務)

 

経理担当者の月次業務は、企業の財務状況を正確に把握し、経営者に適切な判断材料を提供するために重要な役割を担っています。例えば、月初には前月分の売上や経費を集計し、試算表を作成することで、収益や支出の傾向を把握できます。試算表をもとに、企業の財務状況を分析し、改善点を経営陣に報告することも求められるでしょう。

 

また、取引先への請求書発行や支払い業務も月次業務のひとつであり、締め日を考慮しながら正確に処理することが必要です。さらに、税務関連の業務として、源泉所得税の納付なども発生するため、期限を厳守しなければなりません。

 

月次業務は日次業務の延長線上にあり、日々の正確な処理が月次決算の精度を左右するため、一つひとつの業務を丁寧に行うことが求められます。

 

経理担当者の毎月の仕事(年次業務)

 

経理担当者の年次業務は、一年間の財務状況を総括し、企業の経営成績や財務状態を明確にするための重要な作業です。例えば、決算業務では、売上や経費の集計をもとに財務諸表を作成し、税務申告に必要なデータを整理します。

 

決算業務の際には、減価償却や棚卸資産の評価など、特有の処理が必要となるため、会計基準に沿った適切な計上が求められます。また、法人税や消費税の申告も年次業務のひとつであり、税務署への提出期限を守るために、税理士と連携しながら慎重に進める必要があります。

 

さらに、株主や投資家向けに決算報告書を作成し、企業の業績を正しく伝えることも重要な役割です。年次業務は膨大なデータを扱うため、日々の正確な記帳や月次決算への丁寧な対応が、業務の負担を大きく左右することになります。

 

 

なお、経理の仕事や役割についてはこちらの記事も参考にしてください。

 

経理の役割と目的とは?会計・財務との違いや会社規模による役割の違い
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経理担当者の6つの心構え

経理担当者が持つべき6つの心構えは以下のとおりです。

 

  • その1:1円のズレも許さない正確性を持つべし
  • その2:倫理観を持って誠実に対応すべし
  • その3:他部署とコミュニケーションを取るべし
  • その4:DX化による業務効率化を意識すべし
  • その5:経営者の視点でデータを分析すべし
  • その6:変化に適応して学び続けるべし

 

ここでは、それぞれの心構えを具体的に解説します。

 

その1:1円のズレも許さない正確性を持つべし

 

経理業務においては、わずか1円の誤差も見過ごしてはならず、正確性が何よりも求められます。例えば、仕訳入力の際に1桁間違えただけでも、最終的な決算に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

また、銀行の入出金と帳簿の残高が一致しない場合、原因を突き止めるまで何度でも確認を行う必要があります。経理業務における正確性の追求は、単なる数字の整合性だけでなく、企業の財務状況を正しく把握し、健全な経営を支えるために欠かせません。日々の業務の中でミスを防ぐためには、ダブルチェックを徹底し、慎重に作業を進めることが重要になります。

 

その2:倫理観を持って誠実に対応すべし

 

経理担当者は、企業の資金を扱う責任ある立場であり、高い倫理観が求められます。例えば、経費精算の処理では、従業員の申請内容に誤りがないかを厳しくチェックし、不正な支出がないように管理しなければなりません。

 

また、税務申告においては、法律に則った適切な処理を行い、脱税や水増し決算や粉飾決算(赤字決算を黒字決算に見せかける不正行為)といったリスクを回避することが重要です。

 

経理業務は不正が発生しやすい分野でもあるため、常に誠実な姿勢を持ち、公正な判断を下すことが求められます。経理担当者の倫理観が企業の信頼に直結することを自覚し、透明性のある業務を遂行することが大切です。

 

その3:他部署とコミュニケーションを取るべし

 

経理業務は単独で完結するものではなく、他部署との連携が欠かせません。例えば、営業部門と連携し、取引先への請求書の発行時期や金額を正確に把握しなければ、売掛金の回収が遅れるリスクが生じます。

 

また、人事部門と協力し、給与計算や社会保険料の処理を適切に行うことで、従業員の信頼を得ることにもつながります。経理部門が孤立すると、必要な情報がタイムリーに得られず、業務の効率が低下する可能性があります。

 

そのため、積極的にコミュニケーションを取り、スムーズな情報共有を心がけることが大切です。なお、やりとりが面倒でストレスにつながるのであれば、他部署とのやりとりをマニュアル化してしまうこともおすすめです。

 

なお、経理のマニュアル化についてはこちらの記事も参考にしてください。

 

経理マニュアルの作り方!作成時の注意点とマニュアル化の重要性を解説
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その4:DX化による業務効率化を意識すべし

 

近年、経理業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでおり、活用することで業務の効率化が図れます。例えば、クラウド会計ソフトを導入すれば、仕訳入力や請求書管理の自動化が可能となり、手作業によるミスの削減につながります。

 

また、電子帳簿保存法の改正により、紙の書類を電子化する動きが加速しており、経理担当者もデジタルツールの活用スキルを身につける必要があります。最近では、経理業務へAIを活用する企業も増えています。業務を効率化することで、単なる記帳作業にとどまらず、より戦略的な財務分析や経営支援に時間を割くことができるようになります。

 

なお、経理のDX化についてはこちらの記事も参考にしてください。

 

経理DXとは?始め方と導入するメリットや成功の秘訣を解説
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その5:経営者の視点でデータを分析すべし

 

経理担当者は単に数値を記録するだけでなく、経営者の視点を持ってデータを分析することが求められます。例えば、売上とコストの推移を見極め、利益率の変動を分析することで、コスト削減や事業戦略の改善につなげることができます。

 

また、資金繰りの状況を把握し、どのタイミングで投資や資金調達が必要になるかを予測することも重要です。経理の数字は単なる記録ではなく、企業の将来を左右する貴重な情報です。

 

なお、売上やコストは企業全体だけではなく、経理担当者自身の給与にもつながってくるため、正確な判断をしなければなりません。そのため、経営層と同じ目線でデータを読み解き、適切なアドバイスを提供できるスキルを養うことが必要となります。

 

その6:変化に適応して学び続けるべし

 

経理業務は、税制改正や会計基準の変更、IT技術の進化など、常に変化にさらされています。例えば、消費税の軽減税率制度が導入された際には、新しい処理方法を学び、システムの設定変更を行う必要がありました。

 

また、電子帳簿保存法の改正やインボイス制度の導入により、経理のルールが大きく変わり、対応しなければならない業務が増えています。社会情勢の変化に適応するためには、常に最新情報をつかんで、知識をアップデートする姿勢が欠かせません。学び続けることが、経理担当者としての成長につながり、企業の発展にも貢献することができるのです。

経理担当者に求めらえる素養と必要なスキル

経理担当者には、以下のような素養とスキルが求められます。

 

  • 簿記や会計の基本知識
  • AIやITに関するスキル
  • 税務や法律に関する知識

 

ここでは、それぞれの素養やスキル、知識について具体的に解説します。ぜひ、スキルアップの参考にしてください。

 

簿記や会計の基本知識

 

経理担当者にとって、簿記や会計の基本知識は欠かせないスキルです。例えば、企業の財務状況を把握するためには、仕訳のルールを理解し、正しく帳簿に記録することが必要になります。貸借対照表や損益計算書の構造を理解していなければ、経営者に適切な報告を行うことができません。

 

また、会計基準に則った処理を行わなければ、決算時に不備が発生し、外部監査で指摘を受けるリスクも高まります。企業ごとに異なる会計処理が求められることもあり、例えば製造業では原価計算が重要な要素となります。一方で、サービス業では売上の計上基準が異なる場合があります。

 

業界ごとの経理の違いを理解し、適切に対応するためにも、簿記や会計の知識は常に磨いておく必要があります。なお、会計のやり方についてはこちらの記事でもまとめています。

 

会計処理のやり方は?経理処理や財務処理との違いや業務の流れを解説!
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AIやITに関するスキル

 

近年、経理業務におけるAIやITの活用が進んでおり、それらを使いこなすスキルが求められています。例えば、クラウド会計ソフトを導入することで、仕訳の自動入力や請求書のデジタル管理が可能となり、業務の効率化が図れます。

 

また、AIを活用した経理システムでは、領収書のスキャンデータから自動的に仕訳を作成する機能があり、手作業によるミスの削減にもつながります。さらに、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入することで、定型業務を自動化し、経理担当者はより高度な分析や戦略的な業務に集中できるようになります。例えば、税務申告の際にAIが過去のデータを分析し、最適な税務処理を提案するシステムも登場しています。

 

こうした新しい技術を積極的に活用することで、経理業務の生産性を向上させ、より付加価値の高い仕事ができるようになるのです。なお、経理とAIの関係についてはこちらの記事も参考にしてください。

 

経理の仕事はAIでなくなるのか?働き続けるのに必要なスキルを紹介
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税務や法律に関する知識

 

経理担当者は、企業の税務処理を適切に行うために、税法や関連する法律の知識を身につけておく必要があります。例えば、法人税や消費税の申告では、各種控除の適用や税率の違いを理解し、正しく計算しなければなりません。

 

また、税制改正が頻繁に行われるため、新しいルールに対応できるよう常に最新の情報を収集することが求められます。さらに、企業によっては国際取引が関係するケースもあり、例えば輸出入に伴う消費税の免税規定や移転価格税制の理解が必要になることもあります。

 

税務や法律に関する知識を適切に活用することで、企業のコンプライアンスを確保し、リスクを未然に防ぐことができるのです。

まとめ

経理担当者は、日本の生産年齢人口の減少、業界理解と経験の必要性、経理の専門知識の習得などが求められるため、希少性の高い職種となっています。そのため、企業としては経理担当者の採用は困難になり、よりよい人材の育成も必要になっています。

 

企業の経理担当者を育成するためには、以下のような心構えを意識しましょう。

 

  • その1:1円のズレも許さない正確性を持つべし
  • その2:倫理観を持って誠実に対応すべし
  • その3:他部署とコミュニケーションを取るべし
  • その4:DX化による業務効率化を意識すべし
  • その5:経営者の視点でデータを分析すべし
  • その6:変化に適応して学び続けるべし

 

これらの心構えを持つことで、企業の成長にもつながります。また、経理代行会社を導入して、経理担当者の方の負担を削減することもおすすめです。

 

弊社では、経理代行と記帳代行サービスのビズネコを提供しています。日常的な記帳業務だけではなく、会計ソフトの導入支援から財務のコンサルティングまで幅広く対応が可能です。まずは、お気軽にお問い合わせください。

 

経理担当者に関するよくあるご質問

経理担当者についてのお問い合わせを多くいただきます。ここでは、経理担当者に関するよくあるご質問についてまとめて紹介します。

経理担当者の仕事は何ですか?

経理担当者の仕事は、企業の財務状況を正確に管理し、健全な経営を支えることです。例えば、日々の入出金管理や請求書の処理、給与計算、税務申告などを行い、正確な帳簿を作成します。また、月次・年次決算を通じて財務諸表を作成し、経営者に必要なデータを提供する役割も担います。正確性と慎重さが求められる仕事です。

経理で「いってこい」とはどういう意味ですか?

経理における「いってこい」とは、特定の取引や仕訳が相殺され、最終的に差額がゼロになることを指します。例えば、ある日に発生した売掛金と同額の入金が同日に記帳されると、差し引きゼロとなり「いってこい」と表現されます。この言葉は、仕訳の整合性を確認する際に使われ、取引の流れを整理する際に役立ちます。

経理担当者になるにはどんな資格が必要ですか?

経理担当者になるために必須の資格はありません。しかし、簿記の知識が求められるため、「日商簿記検定2級」以上を取得しておくと便利です。また、税務や財務管理の専門性を高めるために、「税理士」や「公認会計士」の資格を目指す人もいます。最近では、デジタル化やIT化の知識も重要視されています。

この記事の監修者

菊池 星

菊池 星

東北大学卒業後に野村證券株式会社入社。資産運用における法人営業成績では同世代で全国1位を獲得し、その後中小企業向けの財務コンサルタントに選抜される。2021年からは、金融・ITコンサルタントとして企業向けに活動を始め、2022年6月から株式会社 full houseをスタートさせる。コンサルティングの経験から、代表取締役として、経理代行・アウトソーシングの「ビズネコ」を事業展開している。