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なぜ決算早期化が求められるのか?メリットやボトルネックと改善のポイントを解説
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なぜ決算早期化が求められるのか?メリットやボトルネックと改善のポイントを解説

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企業の経営状況を明確にする「決算」は、ビジネスの健全性を示す重要な業務です。近年、この決算をいかに早く、正確に行うかが注目されています。決算早期化は、経営判断の迅速化やステークホルダーへの信頼向上、経理部門の業務負荷軽減など多くのメリットをもたらします。

 

一方で、決算早期化には業務の属人化や人手不足など、実現には多くの課題も存在します。本記事では、決算早期化が求められる背景やメリット、ボトルネックの改善策、トレンドまでを詳しく解説します。

 

そもそも決算とは?

決算とは、企業が一定期間における経営成績や財務状況を明らかにするために行う会計処理のまとめを指します。通常は年に一度や四半期。月次ごとに実施され、売上や費用、利益、資産などの情報を財務諸表としてまとめ、株主や金融機関などの利害関係者に報告します。

 

決算を行うことで、企業の成長性や安全性、収益力などを客観的に評価することが可能になります。決算は法的にも義務付けられており、税務申告や株主総会、投資判断の材料としても重要な意味を持っています。

 

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決算早期化とは?

決算早期化とは、従来よりも短期間で決算を完了させる取り組みのことを指します。企業が経営判断をスピーディに下すためには、最新かつ正確な財務情報が必要不可欠であり、そのためには決算業務を効率的に行い、報告までのスピードを高める必要があります。

 

例えば、従来は1か月かかっていた決算処理を2週間に短縮することで、経営層は早い段階で意思決定を行えるようになります。決算早期化は単にスピードを求めるものではなく、情報の正確性や透明性を保ちながら効率化を図るというバランスも求められます。

決算早期化の目的と求められる理由

決算早期化の目的と求められる理由として以下のような点があげられます。

 

  • 金融機関やステークホルダーの信頼を高める
  • 経理部門の働き方改革
  • グループ会社との連結決算の精度向上

 

ここでは、それぞれの目的や理由と背景について詳しく解説していきます。

 

金融機関やステークホルダーの信頼を高める

 

決算の早期化が求められる理由のひとつに、金融機関や株主、取引先などのステークホルダーからの信頼性向上があります。企業の経営状況をいち早く透明に開示することは、経営に対する誠実さや健全性を示す重要な手段となります。

 

例えば、取引先が資金繰りの安定性を確認したいとき、直近の決算情報が迅速に提供されることで、安心して取引を継続できます。また、金融機関から融資を受ける際にも、素早くかつ正確な決算資料が用意されていることは、信用評価の向上につながります。

 

経理部門の働き方改革

 

決算業務は、月末月初に膨大な作業が集中し、経理部門にとっては負荷の高い時期となります。決算早期化の取り組みは、こうした業務の偏りを解消し、経理担当者の労働環境を改善することに直結します。

 

例えば、日々の仕訳入力や確認作業を前倒しで行い、効率的なワークフローを構築することで、残業や休日出勤を減らすことが可能になります。また、業務の標準化やシステム化を進めることで、個人に依存した属人的な作業からの脱却も期待できます。経理部門が持続可能な働き方を実現することは、離職率の低下や人材の定着にもつながり、長期的に見ても企業全体の生産性向上につながります。

 

なお、経理担当者が辞めてしまう理由については、こちらの記事でもまとめています。

 

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グループ会社との連結決算の精度向上

 

複数のグループ会社を抱える企業にとって、連結決算の正確性とスピードは経営判断において重要です。決算早期化を進めることで、各社からのデータ収集や整合性確認のプロセスが効率化され、連結決算の精度を高めることが可能になります。

 

例えば、各グループ会社がスピーディにデータを提出し、それを本社側が迅速に集約して処理できる体制を整えることで、決算全体の遅延リスクが大幅に軽減されます。これにより、グループ全体としての経営戦略の立案や実行に必要な情報が、早期かつ正確に把握できるようになるのです。

 

なお、連結決算については、こちらの記事も参考にしてください。

 

連結決算とは?対象となる企業や業務の流れとメリット・デメリットを解説
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決算早期化のメリット

決算早期化のメリットとして、以下のような点があげられます。

 

  • 経営層によるスピーディな意思決定ができる
  • 決算業務の負担削減と効率化につながる
  • 決算遅延のリスクを軽減できる

 

ここでは、それぞれのメリットについて具体的に紹介します。

 

経営層によるスピーディな意思決定ができる

 

決算早期化によって得られるメリットのひとつは、経営層がスピーディに経営状況を把握できるようになり、迅速かつ的確な意思決定が可能になることです。例えば、市場環境の変化や事業の収益性の傾向を早期に数値で把握できれば、リスク回避や新規投資の判断をスピード感を持って行うことができます。

 

そのため、機会損失の防止や競合他社との差別化にもつながり、企業の機動力を高める要因になります。経営判断に必要な情報が1か月後にしか出てこないのでは、変化の激しい現代においては致命的になることもあります。決算の早期化は、経営を「待ち」ではなく「攻め」に転じる重要な仕組みのひとつといえるでしょう。

 

決算業務の負担削減と効率化につながる

 

決算早期化を進めることで、経理部門における作業の集中や負担を大幅に軽減することができます。例えば、日次・週次でのデータ処理を徹底し、月末に一気に処理する従来のスタイルを見直すことで、繁忙期に偏っていた業務を平準化できます。

 

これにより、残業や休日出勤といった過重労働のリスクも減少し、スタッフの働き方にもゆとりが生まれます。また、業務のマニュアル化やシステム導入を通じて、作業の抜け漏れやヒューマンエラーを減らすと同時に、生産性の向上にもつながります。単に早く終わらせるだけでなく、無駄な工程や手戻りを減らすことで、全体としての業務効率を高めるという点でも、決算早期化は有効な取り組みです。

 

決算遅延のリスクを軽減できる

 

決算が遅れることで発生するリスクは、単にスケジュールの遅延にとどまらず、企業の信用や取引関係にも悪影響を及ぼしかねません。例えば、決算書類の提出が遅れることで、株主や取引先、金融機関からの信頼を損なう事態にもなりかねず、最悪の場合は資金調達の機会を失う可能性もあります。

 

こうしたリスクを最小限に抑えるには、日常業務の見直しやシステム活用を通じて、業務の流れを常に整えておく必要があります。決算早期化の仕組みが整っていれば、突発的なトラブルが起きても対策の余地が生まれ、想定外の遅延を避けることができます。リスクに強い組織体制の構築という観点からも、決算早期化の重要性は高いといえるでしょう。

決算早期化が実現できない課題とボトルネック

決算早期化が実現できない課題とボトルネックとして、以下のような点があげられます。

 

  • 月末月初での経理業務の集中
  • 業務の属人化とマニュアルの不備
  • 経理部門の人材不足や採用課題
  • 手入力や紙でのやり取りによる手間

 

ここでは、それぞれの課題や要因について詳しく解説します。

 

月末月初での経理業務の集中

 

決算早期化を阻む大きな課題のひとつが、月末月初に業務が過度に集中してしまう現状です。請求書や領収書の処理、仕訳の確認、各部署とのデータの突合などが一斉に押し寄せることで、経理担当者は多忙となり、ミスや遅延のリスクが高まります。

 

例えば、締め日の翌日に大量の書類が一斉に提出されると、処理が追いつかず、決算作業のスタート自体が遅れてしまうことがあります。このような状況では、いくら後工程を急いでも全体のスピードアップには限界があります。業務の平準化やスケジュールの見直しがなされていない限り、集中によるボトルネックは解消されにくく、結果として決算の早期化を阻む根本的な要因となっているのです。

 

業務の属人化とマニュアルの不備

 

経理業務が特定の担当者に依存している状態である「属人化」は、決算早期化を妨げる深刻な課題のひとつです。担当者しか分からない処理方法や判断基準が存在すると、急な欠勤や退職によって業務が滞るリスクが高まります。

 

例えば、複雑な仕訳や特定取引の処理を一人のベテラン社員に任せきりにしていた場合、その人が不在になると誰も代替できず、決算の進行がストップしてしまいます。また、業務マニュアルが整備されていない、もしくは形骸化していて実際の業務と乖離しているケースも多く、これが新人育成や業務の引き継ぎを困難にしています。こうした属人化を解消し、誰でも同じクオリティで業務を遂行できる体制づくりが必要です。

 

なお、経理の属人化の課題については、こちらの記事も参考にしてください。

 

経理業務が属人化する原因は?直面するリスクと解消方法を解説
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経理部門の人材不足や採用課題

 

多くの企業では、経理部門の人手不足が深刻な問題となっており、それが決算早期化を阻む要因のひとつになっています。特に中小企業では、限られた人員で日常業務から決算対応までをこなさなければならず、結果的に業務は日常的に忙しくなってしまいます。

 

例えば、繁忙期に担当者が1人でも欠けると全体のスケジュールが狂ってしまい、早期化どころか通常の締めすら困難になることもあります。また、会計ソフトや業務システムの導入が進んでも、システムを使いこなせる人材が不足していては効率化の効果も限定的です。

 

採用市場においても経理経験者の確保は容易ではなく、競争が激化しています。このように人材面の課題が、構造的に早期化の実現を難しくしているのが現状です。

 

なお、経理の採用の難しさについては、こちらの記事でも触れています。

 

経理の採用が難しい6つの理由とは?生じる弊害と採用の見直しポイントを解説
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手入力や紙でのやり取りによる手間

 

決算業務において、未だに紙媒体でのやり取りや手入力が多く残っていることが、早期化を妨げる大きな壁となっています。請求書や領収書が紙で提出され、手作業で仕訳入力を行っている場合、確認から転記、修正といった作業に膨大な時間がかかります。

 

例えば、各部署から紙で提出される経費精算書を一つひとつ手入力していると、集計ミスや入力漏れが発生しやすく、それが決算の遅延につながることも珍しくありません。さらに、紙媒体は情報共有や検索性に乏しく、進捗の可視化や業務の引き継ぎにも支障をきたします。こうした非効率な業務フローが温存されている限り、いかにスキルのある人材が揃っていても、全体のスピードアップには限界があります。

決算早期化のトレンド

経理業務における決算早期化のトレンドとして以下のような点が話題になっています。

 

  • 経理DXの推進
  • 経理BPOの拡大
  • 経理担当者のリスキリング

 

ここでは、それぞれの決算早期化における流行やトレンドについて詳しく解説します。

 

経理DXの推進

 

近年、決算早期化を実現するための有効な手段として、経理業務におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が注目を集めています。会計ソフトのクラウド化やAIによる仕訳自動化、RPAを活用した定型業務の効率化など、テクノロジーを活用して業務のスピードと正確性を飛躍的に向上させる動きが進んでいます。

 

例えば、紙の請求書をスキャンして自動的に仕訳を行うシステムを導入すれば、手入力の工数やミスを大幅に削減でき、締め作業の前倒しも可能になります。DXは単なるツール導入ではなく、業務プロセスそのものを見直す契機ともなり、組織全体の生産性向上にもつながるため、多くの企業が重要性を認識し、積極的に取り組みを進めているのです。

 

なお、経理のDX化については、以下の記事でも触れています。

 

経理DXとは?始め方と導入するメリットや成功の秘訣を解説
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経理BPOの拡大

 

業務の一部を外部に委託する「経理BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の活用も、決算早期化を後押しするトレンドのひとつです。経理BPOを利用することで、社内では対応が難しい繁忙期の業務負荷を軽減しつつ、専門知識を持つ外部のプロによって高精度な業務遂行が可能になります。

 

例えば、請求処理や経費精算、支払業務といったルーティン作業を外部に任せることで、社内の経理担当者は分析や管理会計といった高度な業務に集中できるようになります。また、業務の標準化やマニュアル化が進むことで、属人化の解消にもつながり、組織全体の決算スピードと品質が向上します。こうした流れは、今後も多くの企業に広がっていくことが予想されます。

 

なお、経理のBPOについては、こちらの記事も参考にしてください。

 

経理BPOサービスとは?基礎知識・導入メリット・選び方のポイントを解説
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経理担当者のリスキリング

 

決算早期化の実現には、経理担当者自身のスキルアップも欠かせません。近年では、経理分野におけるリスキリング、つまり新たなスキルや知識の習得に取り組む企業が増加しています。例えば、Excelや会計ソフトだけでなく、RPAツールやBIツールの操作スキル、ITリテラシーの向上などが求められており、経理業務の専門性の向上と効率化に直結するスキルとして注目されています。

 

また、これまでの単なる記帳業務にとどまらず、経営分析やデータ活用といった戦略的な役割を担う人材が期待されており、キャリアの幅を広げるうえでもリスキリングは重要な手段です。変化の激しい時代において、経理担当者が新たな価値を提供できる存在となるためには、継続的な学習と成長が不可欠です。

決算早期化を実現するための改善策とポイント

決算早期化を実現するための改善策とポイントとして、以下のような点があげられます。

 

  • 経理業務のペーパーレス化を進める
  • 業務フローの見直しとマニュアル化を進める
  • 経理代行会社に相談してみる

 

ここでは、それぞれの改善策とポイントについて詳しく解説します。

 

経理業務のペーパーレス化を進める

 

決算早期化を実現するためには、経理業務のペーパーレス化が有効な施策のひとつです。紙ベースの処理は確認や保管に手間がかかり、作業の進行を妨げる要因となります。例えば、請求書や経費精算書を紙でやり取りしていると、内容のチェックや仕訳入力に時間がかかるだけでなく、紛失や保管スペースの確保といった問題も発生します。

 

一方、電子化を進めれば、データの検索や集計が瞬時に行え、作業の正確性とスピードが飛躍的に向上します。また、リモートワークなど多様な働き方にも対応できるため、業務の柔軟性を高める点でも大きなメリットがあります。ペーパーレス化は単なる省力化ではなく、全体の業務効率と情報管理の精度を高めることにもつながるでしょう。

 

なお、経理のペーパーレス化については、こちらの記事も参考にしてください。

 

経理業務をペーパーレス化する5つのメリット!デメリットや注意点も解説
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業務フローの見直しとマニュアル化を進める

 

決算早期化を目指す上で欠かせないのが、経理業務全体のフローを見直し、誰もが同じ手順で作業できるようマニュアルを整備することです。例えば、伝票処理のルートや承認のステップが担当者によって異なる場合、処理のばらつきや確認漏れが発生しやすくなり、結果として決算作業の遅れにつながります。

 

ばらつきや漏れを防ぐには、業務プロセスを可視化し、非効率な工程を省いたうえで、標準化された手順をマニュアルとして文書化することが重要です。マニュアル化が進めば、新人や異動者でも迷わず業務を遂行できるようになり、属人化の解消や作業のスピードアップにつながります。業務の土台を整えることで、経理チーム全体の生産性と柔軟性が高まり、安定的に早期決算が実現できる体制が築かれるのです。

 

なお、経理のマニュアル化については、こちらの記事も参考にしてください。

 

経理マニュアルの作り方!作成時の注意点とマニュアル化の重要性を解説
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経理代行会社に相談してみる

 

自社だけで決算早期化を進めることが難しいと感じた場合、経理代行会社に相談してみるのも効果的な手段です。専門知識を持つプロに業務の一部を委託することで、リソース不足や属人化といった課題を解消できる可能性があります。

 

例えば、日常的な仕訳入力や月次決算の作成などをアウトソーシングすれば、社内の負担を軽減しつつ、正確でスピーディな業務遂行が可能になります。また、外部の視点から業務プロセスの課題や改善点を指摘してもらえるため、自社の業務改革にも役立ちます。

 

最近では、経理代行とDX支援を組み合わせたサービスも登場しており、決算早期化と同時に業務全体の効率化も図れるなど、多くのメリットがあります。信頼できるパートナーを見つけることで、実現困難だった課題も解決に近づくでしょう。なお、経理代行サービスについては、こちらの記事でもまとめています。

 

経理代行とは?サービス内容・メリット・選び方を詳しく解説
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まとめ

決算早期化とは、従来よりも短期間で決算を完了させる取り組みのことを指します。企業が経営判断をスピーディに下すためには、最新かつ正確な財務情報が必要不可欠であり、そのためには決算業務を効率的に行い、報告までのスピードを高める必要があります。

 

決算の早期化には、経営層によるスピーディな意思決定ができ、決算業務の負担削減と効率化から決算遅延のリスク軽減までさまざまなメリットがあります。しかし、月末月初での経理業務の集中や、業務の属人化とマニュアルの不備、経理部門の人材不足、紙でのやり取りによる手間などのボトルネックから決算早期化が滞ってしまうことも多くあります。決算早期化を実現するためには、経理代行会社に相談することもひとつの手です。

 

弊社では、経理代行と記帳代行サービスのビズネコを提供しています。日常的な記帳業務だけではなく、会計ソフトの導入支援から財務のコンサルティングまで幅広く対応が可能です。まずは、お気軽にお問い合わせください。

 

決算早期化に関するよくあるご質問

決算早期化についてのお問い合わせを多くいただきます。ここでは、決算早期化に関するよくあるご質問についてまとめて紹介します。

決算早期化とはどういう意味ですか?

決算早期化とは、企業の決算業務を従来より短期間で完了させる取り組みを指します。迅速かつ正確な財務情報を早期に把握することで、経営判断のスピードアップを可能にし、企業の機動力を高めることができます。また、ステークホルダーへの迅速な情報提供や、経理部門の負荷軽減にもつながり、多くの企業が注目しています。

決算早期化の課題は何ですか?

決算早期化の課題には、業務の属人化や経理部門の人手不足、月末月初への作業集中などがあります。さらに、紙ベースや手入力といった非効率な業務フローも早期化の妨げとなります。特定の担当者に依存する体制では、急な欠勤や退職時に業務が停滞するリスクも高く、マニュアル整備や業務の標準化、DXの推進が必要です。

決算を早める理由は何ですか?

決算を早める理由は、スピーディな経営判断を可能にすることや、金融機関や株主といったステークホルダーへの信頼性向上、経理部門の働き方改革を実現するためです。特に経営環境の変化が激しい現代では、正確な財務データを早期に把握することで、機会損失を防ぎ、企業の競争力を強化することが求められています。

この記事の監修者

菊池 星

菊池 星

東北大学卒業後に野村證券株式会社入社。資産運用における法人営業成績では同世代で全国1位を獲得し、その後中小企業向けの財務コンサルタントに選抜される。2021年からは、金融・ITコンサルタントとして企業向けに活動を始め、2022年6月から株式会社 full houseをスタートさせる。コンサルティングの経験から、代表取締役として、経理代行・アウトソーシングの「ビズネコ」を事業展開している。