TOP コラム 経理アウトソーシングで大失敗?失敗例とリスクの回避方法を解説
経理アウトソーシングで大失敗?失敗例とリスクの回避方法を解説
コラム

経理アウトソーシングで大失敗?失敗例とリスクの回避方法を解説

更新日:

公開日:

経理業務の効率化を目的に、アウトソーシングを検討されている経営者や経理担当者の方も多いのではないでしょうか。経理アウトソーシングは、コスト削減や業務の効率化など、多くのメリットをもたらします。

 

一方で、慎重な検討がなければ、思わぬ落とし穴に陥る可能性も潜んでいます。業務の遅延、コスト増、さらには企業の信用問題に発展するケースも少なくありません。

 

本記事では、経理アウトソーシングにおける失敗事例やそのリスクを具体的に解説し、成功するための対策や、信頼できるアウトソーシング先の選び方を詳しく解説します。

 

経理アウトソーシングとは?

経理アウトソーシングとは、企業が自社の経理業務を外部の専門業者に委託することを指します。経理の業務委託には、日常的な経費精算や給与計算から、決算業務や税務申告に至るまで幅広い範囲が含まれます。

 

企業にとって、経理業務は正確性と迅速性が求められる反面、専門知識や労力が必要とされるため、自社内で全てを完結することは負担が大きくなりがちです。経理アウトソーシングを利用することで、企業は経理業務の負担を軽減し、コア業務に注力することが可能になります。

 

特に、外部の経理専門業者なら、最新の法規制に対応し、効率的な業務プロセスを構築する技術やノウハウを持っているため、精度の高い業務処理が期待できる点が魅力です。

 

また、人件費やシステム維持費の削減にもつながるため、中小企業を中心に注目されています。経理アウトソーシングは、単なるコスト削減手段ではなく、経理の質を向上させる戦略的な選択肢として、近年ますます重要視されています。

 

なお、経理のアウトソーシングについては、以下の記事も参考にしてください。

 

経理アウトソーシングとは?メリット・デメリットや委託先の選び方
経理アウトソーシングとは?メリット・デメリットや委託先の選び方

経理アウトソーシングの失敗例

経理アウトソーシングの失敗例としては、以下のような点があります。

 

  • 失敗例1:コスト削減につながらなかった
  • 失敗例2:業務の効率化ができなかった
  • 失敗例3:うまくコミュニケーション取れなかった
  • 失敗例4:事業内容を理解してもらえなかった
  • 失敗例5:納期に間に合わなかった

 

失敗例1:コスト削減につながらなかった

 

経理アウトソーシングを導入する主な目的のひとつは、コスト削減です。しかし、実際には期待したコスト削減が実現できないことがあります。その原因として、契約時の費用の見積もりが曖昧であったり、想定外の追加費用が発生したりする場合が挙げられます。

 

また、外部業者に依頼する際に、社内の経理担当者を減らさずに併存させてしまうことで、逆に二重のコストが発生することもあります。このような状況では、最終的にアウトソーシングのメリットが十分に発揮されず、コスト増となることも少なくありません。

 

なお、コスト削減の失敗については、以下の記事も参考にしてください。

 

やってはいけない7つの経費削減!効果的なアイデア12選も紹介!
やってはいけない7つの経費削減!効果的なアイデア12選も紹介!

 

失敗例2:業務の効率化ができなかった

 

経理アウトソーシングは、専門家に業務を委託することで効率化を図る意図がありますが、逆に業務が停滞するケースもあります。例えば、アウトソーシング先が業務プロセスやシステムに精通しておらず、作業が遅延することがあります。

 

また、外部業者との連携が不十分である場合、データのやり取りに時間がかかり、内部処理が進まないという問題も発生します。これにより、アウトソーシングによる効率化の効果が見られず、内製よりも時間と手間がかかる結果となってしまうのです。

 

なお、経理の効率化としてDXを取り入れることもあります。経理DXについては、以下の記事も参考にしてください。

 

経理DXとは?始め方と導入するメリットや成功の秘訣を解説
経理DXとは?始め方と導入するメリットや成功の秘訣を解説

 

失敗例3:うまくコミュニケーション取れなかった

 

経理アウトソーシングの成功には、委託先との円滑なコミュニケーションが必要不可欠です。しかし、意思疎通がうまく取れない場合、依頼内容の認識にズレが生じ、業務に支障をきたすことがあります。

 

特に、企業や業界特有の経理業務やフローについて正確に伝わっていないと、業務の進行に大きな遅れが生じる可能性があります。さらに、定期的な報告や確認が滞ることで、不具合が発生した際に早期対応ができず、結果的に大きな問題に発展することもあるため、十分な連絡体制の構築が必要です。

 

失敗例4:事業内容を理解してもらえなかった

 

外部の経理業者が自社のビジネスモデルや業界特有のニーズを理解していない場合、適切な対応が難しくなります。特に、企業ごとに異なる会計処理や業界ルールを把握していないと、誤った処理や不適切な提案が行われるリスクが高まります。

 

経理はビジネスの運営に密接に関連しているため、アウトソーシング業者が事業の特性を正しく理解していない場合、適切なアドバイスや業務サポートを受けられず、逆に業務が複雑化することもあります。

 

なお、企業の規模によっても必要な経理業務は異なります。中小企業向けの経理については、以下の記事を参考にしてください。

 

中小企業の経理とは?やり方・業務内容・大企業の経理との違いを解説!
中小企業の経理とは?やり方・業務内容・大企業の経理との違いを解説!

 

また、上場企業や上場準備企業の経理については以下の記事もおすすめです。

 

上場(IPO)準備企業の経理とは?役割や大変な理由とスケジュールを解説
上場(IPO)準備企業の経理とは?役割や大変な理由とスケジュールを解説

 

失敗例5:納期に間に合わなかった

 

経理業務は、給与の支払日や税務申告期限など、厳密な締め切りに従う必要があります。しかし、アウトソーシングをした場合、依頼した業務が納期に間に合わないケースもあります。

 

納期に間に合わない原因として、外部業者のリソース不足や作業の優先順位が低く設定されてしまうことが挙げられます。また、急な業務の変更や追加依頼に対応しきれない場合もあり、その結果、納期を過ぎてしまうことで会社全体に悪影響を与える可能性があり、納期管理を徹底するための対策が欠かせません。

経理アウトソーシングの失敗によるリスク

経理アウトソーシングの失敗には、以下のようなリスクがあります。

 

  • コストがかさみ事業の成長を妨げる
  • 数字の把握が遅れて経営の舵を取りづらい
  • マニュアル化に時間がかかる
  • 自社にノウハウが残らない

 

ここでは、それぞれの失敗リスクについて詳しく解説していきます。

 

コストがかさみ事業の成長を妨げる

 

経理アウトソーシングが失敗すると、期待していたコスト削減が実現せず、逆にコストが増加するリスクがあります。例えば、追加作業や修正対応にかかる費用が予想外に発生することもあり、事業にかかる経費が膨らんでしまいます。結果として、本来成長に投資すべきリソースが減り、事業の発展を妨げる要因となる可能性があります。

 

数字の把握が遅れて経営の舵を取りづらい

 

経理業務が遅延すると、経営陣がリアルタイムの財務状況を把握できず、適切な意思決定ができなくなります。特に、中小企業やベンチャー企業では、資金繰りや利益率の確認が遅れると、タイムリーな対策ができず、経営戦略の見直しや方向転換が遅れてしまうことがあります。これにより、事業全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼしかねません。

 

マニュアル化に時間がかかる

 

経理アウトソーシングでは、外部業者との連携を円滑に進めるため、業務のマニュアル化が必要です。マニュアルを作らないと、自社と外部業者のどちらがどの業務を行うか明確にできず、責任の所在が曖昧になってしまいます。

 

しかし、企業独自の経理プロセスや方針を詳細に伝えるために、多くの時間と労力がかかることがあります。この過程が遅れると、効率的な業務移行が進まず、アウトソーシングの利点が発揮されにくくなります。

 

なお、経理業務のマニュアル化については、以下の記事も参考にしてください。

 

経理マニュアルの作り方!作成時の注意点とマニュアル化の重要性を解説
経理マニュアルの作り方!作成時の注意点とマニュアル化の重要性を解説

 

自社にノウハウが残らない

 

経理業務を外部に委託すると、経理に関する専門知識やノウハウが社内に蓄積されにくくなります。これにより、将来的に自社での経理担当者が不足したり、経理の重要な部分が外部依存になったりするリスクがあります。ノウハウが外部に依存することで、自社の業務運営における柔軟性や独自性が損なわれることも懸念されます。

経理アウトソーシングの失敗を防ぐ方法

経理アウトソーシングで失敗しないためには、以下のような方法を検討しましょう。

 

  • 外部委託する目的を明確にする
  • 社内でかかっているコストを把握する
  • 委託する業務内容の範囲を決めておく
  • 契約内容と責任の所在を明らかにする

 

外部委託する目的を明確にする

 

経理アウトソーシングを成功させるためには、まず外部委託の目的を明確にすることが重要です。コスト削減や業務効率化、専門知識の活用など、何を最終的に達成したいのかを明確に定義することで、適切な委託先の選定や業務範囲の調整が可能になります。

 

経理アウトソーシングの目的が曖昧だと、結果的に委託の効果が不明確となり、無駄なコストや手間が発生するリスクが高まります。そのため、具体的な成果目標を設定することが重要です。

 

社内でかかっているコストを把握する

 

経理アウトソーシングを検討する際には、まず自社の内部で発生している経理業務に関わるコストを正確に把握する必要があります。人件費やシステム維持費、その他の管理コストを見積もることで、アウトソーシングによるコスト削減効果を客観的に評価できます。

 

事前に社内のコストを理解しておかないと、外部委託によるコスト削減が本当に実現するかどうかを判断する材料が不足し、結果として期待した効果が得られない可能性があります。

 

委託する業務内容の範囲を決めておく

 

経理業務を外部に委託する際には、あらかじめ委託する業務内容の範囲を明確にしておくことが欠かせません。例えば、日常的な経費精算や給与計算のみを委託するのか、それとも決算業務や税務対応まで含めるのかを明確にしておくことで、外部業者との間に誤解が生じることを防げます。

 

また、業務の範囲が曖昧な場合、予期しない追加作業が発生し、コストや納期に影響を及ぼす可能性もあるため、最初に詳細な範囲を確定しておくことが重要です。

 

なお、記帳業務のみを依頼する際は、記帳代行サービスを探すことがおすすめです。記帳代行については以下の記事で詳しく解説しています。

 

記帳代行とは?経理代行との違いやメリット・デメリットを解説
記帳代行とは?経理代行との違いやメリット・デメリットを解説

 

加えて、決算業務のみを代行するサービスもあります。決算代行については、こちらの記事がおすすめです。

 

決算代行の選び方とは?メリット・デメリット・費用相場を解説
決算代行の選び方とは?メリット・デメリット・費用相場を解説

 

契約内容と責任の所在を明らかにする

 

経理アウトソーシングでは、契約内容と責任の所在を明確にしておくことが重要です。外部業者に委託する業務の範囲や成果物、納期について詳細に定め、それに伴うリスクや責任の所在も明らかにしておく必要があります。

 

これにより、万が一問題が発生した場合にも、どこに責任があるのかが明確となり、スムーズに解決策を練ることができます。一方で、曖昧な契約内容では、後々トラブルに発展するリスクがあるため、事前に十分な確認と打ち合わせを行うことが求められます。

失敗しない経理アウトソーシングの選び方

失敗しない経理アウトソーシング先の選び方として、以下のようなポイントがあります。

 

  • 契約期間や解約方法が明確なサービスを選ぶ
  • 事業内容への理解のある企業を選ぶ
  • 円滑なコミュニケーションのとれる担当を選ぶ
  • 予算内で提案してくれる企業を選ぶ
  • スピード感をもって取り組める企業を選ぶ

 

契約期間や解約方法が明確なサービスを選ぶ

 

経理アウトソーシングを選ぶ際には、契約期間や解約方法が明確に定められているサービスを選ぶことが重要です。契約期間が不透明であったり、解約の手続きが煩雑な場合、業務の変更やトラブルが発生した際にスムーズに対応できず、企業にとってリスクとなります。

 

さらに、解約時の違約金や手続き条件が事前に確認されていないと、余計なコストやトラブルが生じる可能性があります。そのため、事前に契約内容をしっかりと確認し、柔軟に対応できる条件の業者を選ぶことが大切です。

 

事業内容への理解のある企業を選ぶ

 

アウトソーシング業者を選定する際には、自社の事業内容や業界特有のプロセスに深い理解を持つ企業を選ぶことが重要です。経理業務は業種や業界によって異なる側面があり、これを理解していない業者では、適切な業務処理が難しくなります。

 

事業の特性に合った会計処理を行うことは、正確な財務報告を行う上で欠かせず、業界のルールや慣習を理解できる業者を選ぶことで、ミスや誤解を防ぎ、スムーズな経理業務が期待できます。

 

円滑なコミュニケーションのとれる担当を選ぶ

 

経理アウトソーシングの成功には、担当者との円滑なコミュニケーションが欠かせません。業務の進行状況や細かな要望を迅速に共有できる環境が整っていないと、業務が滞り、ミスやトラブルが発生する可能性が高まります。

 

特に、経理業務ではタイムリーな対応が求められるため、頻繁な連絡や定期的なミーティングが可能な担当者を持つ業者を選ぶことが重要です。信頼関係が築ける担当者であれば、問題発生時にも迅速に解決することができます。

 

予算内で提案してくれる企業を選ぶ

 

経理アウトソーシングを選ぶ際には、自社の予算に見合ったサービスを提供してくれる企業を選ぶことが大切です。費用対効果が悪ければ、アウトソーシングのコスト的なメリットが薄れてしまいます。

 

そのため、予算内で提案してくれる企業は、コスト意識を持って効率的に業務を進めることが期待できます。また、契約前に詳細な見積もりやコスト構造を提示してもらうことで、後から追加料金が発生するリスクを減らし、予算管理がスムーズになります。

 

なお、経理代行や経理アウトソーシングの費用相場については、以下の記事も参考にしてください。

 

経理代行の費用相場はいくら?アウトソーシングのメリットやコツも解説
経理代行の費用相場はいくら?アウトソーシングのメリットやコツも解説

 

スピード感をもって取り組める企業を選ぶ

 

経理業務は期日が厳格に定められていることが多く、スピード感のある対応が求められます。そのため、経理アウトソーシングを検討する際には、迅速な対応が可能な企業を選ぶことが重要です。

 

日常的な処理や月次・年次決算など、業務のスピードが遅いと、他の業務に影響を与えるだけでなく、経営の意思決定が遅れる原因にもなります。特に、急な変更や追加依頼にも柔軟に対応できる業者であれば、業務全体をスムーズに進めることが可能となり、安心して委託できます。

まとめ

経理アウトソーシングでの失敗としては、コスト削減や業務の効率化につながらなかったという点が多くあります。そのため、事前に社内でどのような業務に時間やコストがかかっているのか把握して、外部委託先の業者と綿密に打ち合わせて、予算内で適切な業務範囲を任せることが大切です。

 

経理代行会社にアウトソーシングを依頼する際は、スピーディでコストパフォーマンスのよい企業を選びましょう。

 

弊社では、経理代行サービスのビズネコを提供しています。日常的な経理業務だけではなく、会計ソフトの導入支援から財務のコンサルティングまで幅広く対応が可能です。まずは、お気軽にお問い合わせください。

 

経理アウトソーシング失敗のよくあるご質問

経理アウトソーシングの失敗についてのお問い合わせを多くいただきます。ここでは、経理アウトソーシングの失敗に関するよくあるご質問についてまとめて紹介します。

経理アウトソーシングのデメリットは何ですか?

経理アウトソーシングのデメリットは、外部業者への依存度が高まることです。業務の進行状況が見えにくくなるため、緊急時に即対応できない場合があります。また、事業内容を十分に理解していない外部業者に委託すると、ミスが発生するリスクが高まり、自社にノウハウが蓄積されないという問題もあります。

経理の残業が多い理由は何ですか?

経理の残業が多い理由は、月末や期末の締め処理や決算業務、税務対応など、繁忙期が集中するためです。特に、各部署からのデータ集計や修正依頼が遅れると、経理部門はその調整に追われ、業務が遅延します。また、法規制の変更や予期せぬトラブルにも即対応が求められ、結果的に残業が増加することがあります。

アウトソーシングがダメな理由は何ですか?

アウトソーシングがダメな理由は、業務を外部に委託することで内部管理のコントロールが難しくなる点です。外部業者が自社の業務フローを十分に理解していないと、ミスやトラブルが発生しやすくなります。また、コスト削減が目的でも、追加費用がかかる場合や期待した成果が得られないこともあります。

この記事の監修者

菊池 星

菊池 星

東北大学卒業後に野村證券株式会社入社。資産運用における法人営業成績では同世代で全国1位を獲得し、その後中小企業向けの財務コンサルタントに選抜される。2021年からは、金融・ITコンサルタントとして企業向けに活動を始め、2022年6月から株式会社 full houseをスタートさせる。コンサルティングの経験から、代表取締役として、経理代行・アウトソーシングの「ビズネコ」を事業展開している。