経理担当者が突然退職してしまうと、経理業務がストップするだけではなく、情報漏洩や不正のリスクも高まります。とくに、ひとりで経理を担当している方がいる中小企業にとっては、退職する理由を知って事前にリスクへの対策をしておくことが必要不可欠です。
本記事では、経理担当者が退職する理由と本音について紹介します。また、突然の退職リスクと対処方法や、経理代行のメリットついても詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
経理担当者が退職する理由と本音
経理担当者が退職する理由と本音には主に以下のような点があげられます。
- 上司や同僚との人間関係がうまくいかない
- 長時間労働や激務がつらい
- 給与水準が低い
- 作業が単調でやりがいがない
- キャリアパスが見えない
- ジョブローテーションの機会がない
- スキルアップがしたい
- 自社の業績が悪化している
- プライベートを優先したい
上司や同僚との人間関係がうまくいかない
上司や同僚との人間関係がうまくいかない場合、職場でのストレスが大きくなり、経理担当者は退職を考えることがあります。経理の仕事はチームプレーも多いため、人間関係のトラブルが業務の遂行に影響を及ぼします。
また、信頼関係が築けないと、業務の効率や質が低下し、自身の精神的負担も増えてしまいます。その結果、退職を決意するケースが少なくありません。
長時間労働や激務がつらい
長時間労働や激務が続くと、経理担当者は身体的にも精神的にも疲弊します。とくに、月末や決算期などの繁忙期には、膨大な作業量に追われることが多く、過労による健康被害も懸念されるでしょう。
これにより仕事への意欲が低下し、ワークライフバランスの崩壊を感じて退職を決意することがあります。そのため、適切な労働環境の整備が必要不可欠です。
給与水準が低い
経理担当者は一般的にインセンティブなどの支給がなく、社内での給与水準が低いことも多くあります。給与水準が低いと、経理担当者は自分の働きに見合った報酬を得られないと感じ、不満が募ります。
他の職種や企業と比較しても賃金が低い場合、モチベーションが下がり、転職を考える要因となります。また、経理の専門知識やスキルに対して適切な評価がされないと感じると、自己成長の機会も限られ、退職を選択する人も増えてしまいます。
作業が単調でやりがいがない
作業が単調でやりがいがないと感じる経理担当者は、日々の業務に対して興味やモチベーションを失うことがあります。
また、同じ作業の繰り返しやルーチンワークが多い場合、仕事の満足感が得られず、成長や達成感を感じられません。このような状況が続くと、より刺激的でチャレンジングな仕事を求めて退職を考えるようになります。
キャリアパスが見えない
キャリアパスが見えない場合、経理担当者は将来の人生設計に不安を感じます。たとえば、どれだけ努力しても昇進やキャリアアップの機会が乏しいと感じてしまうことで、自分の成長が止まってしまうのではないかと不安に思うこともあるでしょう。
将来への期待が持てないと、モチベーションが低下し、他の企業や職種への転職を検討するようになります。
ジョブローテーションの機会がない
ジョブローテーションの機会がないと、経理担当者は新しい経験やスキルを身につけるチャンスを逃してしまいます。ジョブローテーションとは、スキル向上のためにさまざまな業務経験を積ませるために、定期的に部署の配置転換を行うことです。
ジョブローテーションがないと、同じ部門や役割に長期間留まることで、業務に対する視野が狭まり、マンネリ化が進みます。多様な業務経験が得られないことに不満を感じ、キャリアの幅を広げるために退職を決意するケースが見られます。
スキルアップがしたい
スキルアップがしたいと考える経理担当者は、自分の専門性を高めたいという意欲に駆り立てられることがあります。しかし、現職では十分な研修や教育の機会が提供されない場合、成長の限界を感じることもあるでしょう。
そのため、自己投資のために時間やリソースを割くことが難しい環境では、よりスキルアップの機会が豊富な企業へと転職を考えるようになります。
自社の業績が悪化している
自社の業績が悪化している場合、経理担当者は将来の不安を感じます。特に経理は会社の財務状況を日常的に管理して直接把握しているため、経営の不安定さを実感しやすい職種です。
そのため、将来の安定が見込めない企業に留まるよりも、業績が好調な企業への転職を選ぶ人も増えるでしょう。個人のキャリアを守るための決断というところが本音です。
プライベートを優先したい
プライベートを優先したい経理担当者は、仕事と生活のバランスを重視します。家族との時間や自分の趣味、健康を大切にしたいという考えから、過度な残業や出張が続く職場環境に不満を抱きます。
仕事に追われる日々から解放され、充実したプライベートを過ごすために、テレワークやフレックスタイム制など、より柔軟な働き方を提供する企業へ転職を希望することが多くあります。
経理担当者が突然退職する企業側のリスク
経理担当者が突然退職する際は、企業側には以下のようなリスクが発生します。
- 経理業務のストップや遅延が起きる
- 知識やノウハウがブラックボックス化する
- 不正行為が発生しやすくなる
- 情報の漏洩が起きやすくなる
- 後任の担当者を採用するのに時間がかかる
- 担当者同士で業務の引継ぎができない
- 新人の研修に時間とコストがかかる
経理業務のストップや遅延が起きる
経理担当者が突然退職すると、企業は経理業務のストップや遅延に直面する可能性があります。日常的な入出金管理や支払い、決算業務などが滞ると、取引先との信用問題や法的なリスクが発生します。
とくに、繁忙期や月末に経理担当者が退職すると、深刻なトラブルが発生して、企業全体の業務効率に悪影響を与えることがあります。
知識やノウハウがブラックボックス化する
経理担当者が急に退職すると、その人が持っていた知識やノウハウがブラックボックス化するリスクがあります。
たとえば、特定の担当者しか知らない業務プロセスや、カスタマイズ化された経理システムの使用方法などが引き継がれないと、残された社員が対応できず、業務の継続が難しくなります。その結果、企業の業務全体に混乱を招く可能性が高まります。
不正行為が発生しやすくなる
経理担当者が突然退職すると、不正行為が発生しやすくなるリスクも高まります。理由としては、急な退職により内部統制が弱体化し、一時的に監視の目が届かなくなる状況が生まれてしまうからです。
また、従業員のなかには、この機会を狙って不正行為を考える人も現れるため、企業はとくに注意が必要です。そのため、定期的な監査や複数の担当者によるチェック体制が求められます。
情報の漏洩が起きやすくなる
経理担当者が急に退職すると、情報の漏洩が起きやすくなるリスクがあります。担当者が扱っていた機密情報や顧客データの管理が不十分になり、外部へ流出する可能性があり、企業の信用に関わる重大な問題となります。
とくに、退職前の引継ぎが不十分な場合、情報管理のルールが徹底されず、外部に情報が漏れるリスクが高まります。
後任の担当者を採用するのに時間がかかる
後任の担当者を採用するのに時間がかかることも企業側のリスクです。適任者を見つけるための採用活動は、求人の掲載から面接、選考に至るまで多くの時間と労力を要します。
とくに、簿記や会計などの専門知識が必要な経理職では、適切な人材を見つけるのが困難であり、その間に業務が滞るリスクが高まります。
なお、採用に時間がかかればかかるほど、日常的な経理業務が溜まってしまうため、注意が必要です。
担当者同士で業務の引継ぎができない
担当者同士で業務の引継ぎができない場合、経理業務のやり方やルールが忘れられてしまい、効率が悪くなることもあるでしょう。
また、突然の退職により、引継ぎが不十分な状態で次の担当者が業務を開始すると、重要な業務プロセスやルールが把握できず、ミスやトラブルが発生しやすくなります。
これにより、コア業務に集中できず、企業全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。
新人の研修に時間とコストがかかる
新人の研修に時間とコストがかかることも、企業にとって大きなリスクです。新しい経理担当者を育成するためには、詳細な業務指導やシステムの使用方法の教育が必要です。
この過程で、多くの時間とリソースを割かなければならず、他の業務にも影響が出る可能性があります。とくに、専門的なスキルを持つ経理担当者の育成には、企業の負担が大きくなります。
経理担当者が突然退職するリスクへの対処方法
経理担当者が突然退職してしまうと発生するリスクへの対処方法には、主に以下のようなものがあります。
- 業務の仕組み化やマニュアルを作成する
- 働きやすい環境づくりをする
- 複数の担当者で経理業務を行う
- 定期的なチェックとフィードバックをする
- 引継ぎ事項をまとめておく
- 経理代行サービスの導入を検討する
業務の仕組み化やマニュアルを作成する
経理担当者が突然退職するリスクに対処するためには、業務の仕組み化やマニュアルを作成することが重要です。
具体的には、各業務の手順を詳細に記録し、誰でも理解できるように整備することが求められます。なお、マニュアルは紙ではなく電子データにしておくことで、まとめて管理もしやすくなります。
その結果、担当者が交代してもスムーズに業務を引き継ぐことができ、業務の滞りを防ぐことができます。
なお、経理業務のDX化をすすめるのもひとつの手です。経理DXについては以下の記事も参考にしてください。
働きやすい環境づくりをする
働きやすい環境づくりをすることも、経理担当者の突然の退職を防ぐためには重要です。
たとえば、労働時間の見直しやリモートワークやフレックスタイム制など、柔軟な勤務体制の導入、ストレスチェック体制の強化や産業医の巡回などが挙げられます。
これにより、従業員の満足度が向上し、離職率の低下に繋がります。健全な職場環境を整えることが、長期的な人材確保の鍵となるでしょう。
複数の担当者で経理業務を行う
経理業務を複数の担当者で行うことも、リスク管理の一環として有効です。中小企業のなかには、ひとりで経理担当のすべてを担っている方も多くいます。しかし、特定の担当者に業務が集中しないようにすることで、突然の退職が発生しても残りの担当者が業務をカバーできます。
また、複数の視点で業務を確認することでミスの発見や防止にも役立ちます。チーム体制での業務遂行は、業務の安定化につながります。
なお、ひとりで経理担当をすべて行う方を「一人経理」とも呼びます。「一人経理」のリスクについては、以下の記事も参考にしてください。
定期的なチェックとフィードバックをする
定期的なチェックとフィードバックを行うことで、経理業務の質と効率を維持することができます。これにより、担当者の業務状況や課題を早期に把握し、必要なサポートを提供することが可能です。
また、フィードバックを通じて担当者の成長を促すことや、業務の透明性を確保することで、将来的な不正行為の予防にもつながります。
引継ぎ事項をまとめておく
引継ぎ事項をまとめておくことも重要です。担当者が急に退職した場合でも、引継ぎ資料が整っていれば次の担当者がスムーズに業務を引き継ぐことができます。
具体的には、日常業務の手順や注意点、使用しているツールやシステムの情報などを整理しておくとよいでしょう。また、引継ぎ事項がどこのファイルに格納されているかも社内で共有しておくことも大切です。
経理代行サービスの導入を検討する
経理代行サービスの導入を検討することも、突然の退職に対するリスクヘッジとして効果的です。外部の専門業者に経理業務を委託することで、内部の人材不足や急な退職による業務停滞を防ぐことができます。
また、専門知識を持つプロフェッショナルに業務を任せることで、業務の正確性や効率が向上し、企業全体の経営安定にもつながるでしょう。
なお、低価格でスピーディに依頼したい場合は、経理代行サービスのビズネコがおすすめです。記帳代行から財務のコンサルティングまで幅広く対応が可能です。まずは、お気軽にお問い合わせください。
経理担当者が退職しても安心な経理代行のメリット
経理担当者が退職しても安心な経理代行サービスを導入することがおすすめです。経理代行サービスへ依頼するメリットには以下のようなものがあげられます。
- 経理業務の属人化やブラックボックス化を防ぐ
- スピーディに記帳や仕訳業務が遂行できる
- 経理担当者を雇う採用コストや人件費を抑えられる
経理業務の属人化やブラックボックス化を防ぐ
経理代行サービスを利用することで、経理業務の属人化やブラックボックス化を防ぐことができます。特定の担当者に業務が依存しないため、誰が担当しても一貫した業務プロセスが維持されます。
これにより、突然の退職による業務の停滞を避け、業務の透明性と効率化を改善することができます。また、外部の専門家による定期的なチェックも行われるため、不正の防止にも繋がります。
スピーディに記帳や仕訳業務が遂行できる
経理代行サービスを活用すれば、スピーディに記帳や仕訳業務が遂行できます。専門のプロフェッショナルが担当することで、正確かつ迅速に会計処理が行われ、タイムリーな財務情報の共有が可能となります。
また、繁忙期や月末の締め作業もスムーズに進むため、社内の負担が軽減されます。効率的に業務が遂行され、企業の経営判断も迅速に対応できるようになります。
経理担当者を雇う採用コストや人件費を抑えられる
経理担当者を雇う採用コストや人件費を抑えられることも、経理代行サービスを導入する大きなメリットです。
たとえば、新たな人材を採用する際の求人広告費や面接の手間、研修コストなどを省くことができます。
さらに、フルタイムの社員に対する給与や福利厚生にかかる費用も不要となり、コスト削減に繋がります。そのため、経理代行サービスを利用することで、経理業務にかかる総合的な費用を効果的に抑えることにつながるでしょう。
まとめ
突然の経理担当者の退職は、企業にとって大きなリスクを伴います。日常の会計業務がストップしてしまうだけではなく、情報漏洩のリスクや不正行為の発生を招くこともあるでしょう。そのため、マニュアルの作成や働きやすい環境づくりなど、企業側がリスク管理として取り組む必要があります。
経理担当者が突然退職するリスクへの対処方法としては、経理代行サービスに依頼することも検討しましょう。
なお、低価格でスピーディに依頼したい場合は、経理代行サービスのビズネコがおすすめです。記帳代行から財務のコンサルティングまで幅広く対応が可能です。まずは、お気軽にお問い合わせください。
経理担当者の退職に関するよくあるご質問
経理担当者の退職についてのお問い合わせを多くいただきます。ここでは、経理担当者の退職に関するよくあるご質問についてまとめて紹介します。
経理職に慣れるには何年かかりますか?
経理職に慣れるには、一般的には3~5年程度かかるといわれています。基本的な業務を習得するのに1~2年程度かかり、専門知識や高度なスキルを身につけるためには、さらに数年が必要となるでしょう。
経理の退職は何ヵ月前までに伝えればよいですか?
経理の退職について、通常は少なくとも1~2ヶ月前に伝えるのが理想的です。ただし、引継ぎや後任者の採用にも時間がかかります。そのため、退職が明確になるタイミングや、転職先が決まった時点で、なるべく早めに伝えることが企業と担当者の方の両方にとってトラブルなく、退職ができるでしょう。
経理が忙しいのはなぜですか?
経理が忙しいのは、月次決算や年次決算、税務申告などの締め切りが日常的に多いためです。これらの業務には正確さと迅速さが求められ、特に月末や年度末は作業が集中しがちです。そのため、会計ツールの導入や経理代行サービスを依頼するなど、作業にかかるリソースを削減することもおすすめです。