TOP コラム 経理BPOサービスとは?基礎知識・導入メリット・選び方のポイントを解説
経理BPOサービスとは?基礎知識・導入メリット・選び方のポイントを解説
コラム

経理BPOサービスとは?基礎知識・導入メリット・選び方のポイントを解説

更新日:

公開日:

経理業務の効率化やコスト削減に注目が集まるなか、企業の経営戦略において経理BPOサービスが重要な役割を担っています。

 

BPOとは「Business Process Outsourcing」の略で、自社の業務の一部を専門企業に委託することを指します。

 

本記事では、経理BPOサービスの基礎知識から、導入によるメリット、そして適切なサービスを選ぶためのポイントまでを詳しく解説していきます。経理業務に課題を抱える企業にとって、経理BPOサービスがどのように役立つのか、ぜひ参考にしてください。

 

そもそもBPOとは?

BPOとは「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の略で、企業が自社の業務プロセスの一部を外部の専門業者に委託することを指します。BPOにより、企業は自社のコア業務に集中し、効率性やコスト削減を図ることができます。

 

BPOは、バックオフィス業務やカスタマーサポート、ITサービス、人事管理など、さまざまな業務に採用されます。

 

特に、IT技術の進化とグローバル化が進む現代において、BPOは企業の競争力を高めるための重要な戦略となっています。

 

また、BPOは柔軟な対応が求められる市場の変動に迅速に対応できるため、企業の成長戦略にも貢献します。結果として、BPOの活用は企業の効率性向上とコスト削減だけでなく、全体的なビジネスパフォーマンスの向上にもつながるのです。

 

BPOサービスの市場規模

 

BPOサービスの市場規模は、年々拡大しています。これは、企業がグローバル競争の中でコスト効率を高める必要があるためです。特に、IT関連のBPOサービスは急成長しており、クラウドコンピューティングや人工知能の導入が進む中で、その重要性はさらに増しています。

 

2023年の矢野経済研究所による市場調査によると、2022年度のBPOサービス全体の市場規模は、前年度比で3.0%増加の4兆7,020億9,000万円と推計されています。予測値では2024年以降も右肩上がりになっています。

 

参考:BPO市場に関する調査(2023年)|矢野経済研究所

 

BPOサービスの種類

 

BPOサービスと一概にしてもさまざまな種類があります。代表的なものとしては、以下のような業務があげられます。

 

  • 経理・財務
  • カスタマーサービス
  • 人事
  • ITサポート
  • 営業

 

上記の業務は、それぞれの分野に特化した専門業者が提供し、企業は自社のニーズに応じて最適なBPOパートナーを選ぶことができます。

 

また、最近ではマーケティングやデジタルコンテンツの制作といった新しい分野でもBPOサービスが提供されており、企業の多様なニーズに応えることができるようになっています。

 

なお、経理のBPOサービスのことを経理代行とも呼びます。経理代行については以下の記事も参考にしてください。

 

経理代行とは?サービス内容・メリット・選び方を詳しく解説
経理代行とは?サービス内容・メリット・選び方を詳しく解説

BPOサービスのメリット

BPOサービスの活用には、主に以下のようなメリットがあります。

 

  • 人件費の削減ができる
  • 業務の質の向上が期待される
  • コア業務への集中が見込める

 

ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。社内業務のアウトソーシングを検討される方はぜひ参考にしてください。

 

人件費の削減ができる

 

BPOサービスを活用することで、企業は大幅な人件費の削減を実現できます。特に、経理やIT技術など専門的なスキルが求められる業務や、単純作業が多い業務を外部に委託することで、自社の人員を最小限に抑えることが可能です。

 

また、従業員の雇用に伴う福利厚生費や研修コストも削減できるため、総合的なコスト削減が見込まれます。ただし、人件費など経費削減は注意が必要です。経費削減の方法については、以下の記事も参考にしてください。

 

やってはいけない7つの経費削減!効果的なアイデア12選も紹介!
やってはいけない7つの経費削減!効果的なアイデア12選も紹介!

 

業務の質の向上が期待される

 

BPOサービスを利用することで、業務の質が向上することが期待されます。委託先は専門知識と経験を持つプロフェッショナルであり、効率的かつ高品質なサービスを提供しています。

 

その結果、企業は自社のリソースを無駄にすることなく、煩雑な業務を標準化することも期待できます。また、委託先によっては、マニュアルの作成なども請け負っているため、業務の属人化を防ぐ効果もあります。

 

コア業務への集中が見込める

 

BPOサービスを導入することで、企業はコア業務(中核業務)に集中できるようになります。ノンコア業務(非中核業務)を外部に委託することで、限られたリソースを自社の競争優位を高める活動に集中させることができます。

 

その結果、企業全体における業務の効率性が促進されて、長期的かつ戦略的なビジネス成長が期待されるでしょう。なお、コア業務については以下の記事でも詳しく解説しています。

 

コア業務とは?ノンコア業務との違いと社内業務効率化のポイントを解説
コア業務とは?ノンコア業務との違いと社内業務効率化のポイントを解説

BPOサービスのデメリット

BPOサービスの活用には、以下のようなデメリットもあります。

 

  • 委託先とのコミュニケーションが大変
  • 情報セキュリティのリスクがある
  • 自社にノウハウが蓄積されない

 

メリットではなくデメリットも意識することで、BPOサービスの導入で失敗を防ぐことにつながります。

 

委託先とのコミュニケーションが大変

 

BPOサービスを利用する際のデメリットのひとつとして、委託先とのコミュニケーションが大変である点があげられます。地方企業であれば、物理的な距離の問題や、企業の文化的な違いもあるでしょう。

 

委託先と依頼主である企業における、業務への意識の違いが障壁となり、情報の共有や意思疎通がスムーズに行えないことがあります。コミュニケーションが原因で業務の遅延や質の低下につながるリスクも考えられます。

 

情報セキュリティのリスクがある

 

BPOサービスを利用する際には、情報セキュリティのリスクが伴います。外部に業務を委託することで、機密情報が漏洩する可能性が高まってしまうこともあります。

 

そのため、委託先のセキュリティ対策が十分であるかを慎重に確認し、適切な契約を結ぶことが必要不可欠です。情報管理における失敗は企業にとって大きな損害をもたらす可能性があります。

 

自社にノウハウが蓄積されない

 

BPOサービスを利用すると、自社内に業務のノウハウが蓄積されにくくなるというデメリットがあります。専門知識や経験豊富な委託先のノウハウを活用できるというメリットがある一方で、外部委託先に業務を任せることは、社内でのスキルや知識の引継ぎが妨げられてしまうともいえるでしょう。

 

将来的に自社内でその業務を再び内製化する際に支障をきたすことがあるため注意が必要です。

経理BPOサービスとは?

経理BPOサービスとは、企業が自社の経理業務を外部の専門業者に委託するビジネスのことです。企業は経理業務に関連する煩雑なタスクをアウトソーシングでき、自社のリソースをより戦略的な活動に集中させることができます。

 

経理BPOサービスを利用することで、経理や財務の分野における専門知識を持ったプロフェッショナルのノウハウや知識を活用することができます。さらに、最新の技術やツールを活用した業務改善が図れます。

 

また、経理BPOを活用することで、企業はコスト削減を実現することにもつながります。内部で経理業務を行う場合に比べ、スタッフの採用や教育・研修、システム導入といったコストが削減され、より計画的に資産や人材を活用することができます。

経理BPOサービスのメリット

経理BPOサービスを活用すると、以下のようなメリットがあります。

 

  • 経理担当者への属人化を防ぐ
  • 経理の人材不足を解消できる
  • 財務や経営判断に注力できる
  • 決算期などの繁忙期を乗り越えられる
  • 最新の法規制や税制を確認できる

 

経理担当者への属人化を防ぐ

 

経理BPOサービスを利用することで、経理業務が特定の担当者に依存するリスクを軽減できます。経理担当者が急に退職したり、長期休暇を取ったりする場合でも、業務が滞ることなく継続されるのが大きなメリットです。

 

その結果、組織全体の経理業務が安定し、業務の一貫性が保たれるため、企業の経理プロセスが効率的に管理できます。

 

経理の人材不足を解消できる

 

経理BPOサービスは、企業が直面している人材不足の問題にも効果的な解決策となります。会計や財務といった経理業務に精通したプロフェッショナルを外部から確保することで、社内のリソースを節約し、面倒な作業を迅速かつ正確に遂行できます。

 

その結果、人材不足による業務遅延やミスを防ぐことができ、企業の経営をよりスムーズに進めることが可能になります。

 

財務や経営判断に注力できる

 

経理業務をアウトソーシングすることで、経営層は財務分析や戦略的な経営判断により多くの時間とリソースを費やすことができる点もメリットです。日常的な作業から解放されることで、冷静に事業の状況を分析することができます。

 

その結果、企業の成長に直結する重要な判断も迅速に行えるようになり、企業全体の競争力を向上させることができます。なお、財務については以下の記事もご覧ください。

 

財務とは?経理・会計との違いや仕事内容について解説!
財務とは?経理・会計との違いや仕事内容について解説!

 

決算期などの繁忙期を乗り越えられる

 

決算期などの繁忙期においても、経理BPOサービスの活用は効果的です。通常、繁忙期には業務が集中し、社内のリソースが圧迫されてしまいます。

 

しかし、外部の経理代行会社などがサポートすることで、社員への負荷を分散でき、スムーズに業務を進めることができます。その結果、従業員の負担が軽減され、人的ミスのリスク削減にもつながります。

 

なお、決算のBPOとして決算代行というサービスがあります。決算代行については以下の記事もご覧ください。

 

決算代行の選び方とは?メリット・デメリット・費用相場を解説
決算代行の選び方とは?メリット・デメリット・費用相場を解説

 

最新の法規制や税制を確認できる

 

経理BPOサービスを利用することで、常に最新の法規制や税制に準拠した業務を行うことが可能になります。経理代行会社などでは専門の担当者が最新の情報をキャッチアップしているため、事業にあった提案が可能です。

 

そのため、企業は法的リスクを最小限に抑えつつ、コンプライアンスを守った会社運営が可能になるでしょう。

経理BPOサービスを選ぶ際のポイント

経理BPOサービスの導入で失敗しないためには、選び方に以下のようなポイントがあります。

 

  • 予算にあった事業者やサービスを選ぶ
  • 情報セキュリティ対策を確認する
  • 依頼内容とサービスをすり合わせる
  • 柔軟な対応ができるか評価する

 

予算にあった事業者やサービスを選ぶ

 

経理BPOサービスを選ぶ際には、予算に合った事業者やサービスを選ぶことが重要です。サービスのコストが予算を超えてしまうと、長期的な利用が困難になります。

 

そのため、事前に予算を明確にし、その範囲内で必要なサービスを提供できる業者を選定することが求められます。コストパフォーマンスの良いサービスを選ぶことが、経理BPOサービス導入の成功にもつながります。

 

情報セキュリティ対策を確認する

 

情報セキュリティ対策の確認も、経理BPOサービスを選ぶ際のポイントです。経理業務には機密性の高いデータが含まれるため、外部に委託する際にはそのデータが適切に保護されるかを確認する必要があります。

 

委託先の事業者と契約を進める前に、どのようなセキュリティ対策を行っているのか確認し、安心して依頼できるかどうかを判断しましょう。

 

依頼内容とサービスをすり合わせる

 

依頼内容と提供されるサービスが合致しているかをすり合わせることも重要です。企業ごとに求めるサービス内容や業務範囲は異なるため、事前に具体的な要件を整理し、事業者と詳細に打ち合わせを行いましょう。

 

サービス内容が期待と異なると、後々問題が発生する可能性があるため、見積もりや打ち合わせの時点で、明確な合意をとっておくことがポイントです。

 

柔軟な対応ができるか評価する

 

経理BPOサービスを選ぶ際には、柔軟な対応が可能かどうかを評価することもポイントです。経理業務には予期せぬトラブルや急な対応が求められることがあります。その際に、アウトソーシング先の事業者がどれだけ迅速かつ柔軟に対応できるかを確認しておきましょう。

 

また、常に担当者と円滑なコミュニケーションをとっておくことで、自社の状況について理解を深めてもらうこともおすすめです。

経理BPOサービスの導入までの流れ

経理BPOサービスを導入するには、主に以下の3つのステップで進みます。

 

  • step1:外部委託したい業務を洗い出す
  • step2:導入における予算と目的を明確にする
  • step3:委託先の業者を選定する

ここでは、導入までの流れや手順について詳しく解説します。

 

step1:外部委託したい業務を洗い出す

 

経理BPOサービスを導入する際、まず最初に行うべきステップは、外部委託したい業務を洗い出すことです。企業の経理業務の中で、どの部分を外部に委託するべきかを明確にすることで、サービス導入後の効果を最大化できます。

 

具体的には、日常的な会計処理や決算業務、税務申告など、負担が大きい業務をリストアップしましょう。外部の専門家に任せることで自社のリソースを効率的に活用することが可能です。

 

step2:導入における予算と目的を明確にする

 

次に、導入における予算と目的を明確にしておきましょう。どれくらいの費用をかけることができるか、そしてその費用に見合った効果を期待するかを明確にすることで、サービス選定の基準が明確になります。

 

例えば、経理BPOサービスを導入する目的として、業務効率の向上やコスト削減、専門知識の活用といった具体的な目標を設定することが、成功のコツともいえるでしょう。

 

step3:委託先の業者を選定する

 

最後に、洗い出した業務内容と予算、目的に基づいて、委託先の業者を選定します。業者選びは、サービスの質や実績、信頼性などを総合的に評価して行うべきです。

 

また、担当者とのコミュニケーションが円滑であるか、事業の規模や業種への理解があるかなどもポイントになります。委託先の事業者と打ち合わせを行い、自社に最適なパートナーを見つけていきましょう。

まとめ

BPOとは「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の略で、企業が自社の業務プロセスの一部を外部の専門業者に委託することを指します。

 

BPOには、バックオフィス業務やカスタマーサポート、ITサービス、人事管理などがあり、経理業務もアウトソーシングが可能です。

 

経理BPOサービスとは、企業が自社の経理業務を外部の専門業者に委託するビジネスのことです。企業は経理業務に関連する煩雑なタスクをアウトソーシングでき、自社のリソースをより戦略的な活動に集中させることができます。

 

なお、弊社では、経理BPOサービスのビズネコを提供しています。記帳代行から財務のコンサルティングまで幅広く対応が可能です。まずは、お気軽にお問い合わせください。

 

経理BPOサービスのよくあるご質問

経理BPOサービスについてのお問い合わせを多くいただきます。ここでは、経理BPOサービスに関するよくあるご質問についてまとめて紹介します。

BPOとは経理業務のことですか?

BPOとは経理業務に限られたものではありません。BPOは、企業が自社の業務プロセスを外部の専門業者に委託することを指し、経理業務にとどまらず、カスタマーサポート、人事管理など、様々な業務が対象となります。経理業務はBPOの対象ですが、BPO自体は幅広い業務に適用される概念です。

BPRとBPOの違いは何ですか?

BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)とBPOはしばしば混同されますが、異なる概念です。BPRは、既存の業務プロセスを根本的に見直し、再設計することで業務効率を向上させる手法です。一方、BPOはそのプロセスを外部に委託することを指します。

BPOとRPAの違いは何ですか?

BPOとRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は異なる概念です。BPOは業務を外部に委託することを意味するのに対し、RPAはソフトウェアロボットを使って、人間が行っている業務を自動化する技術を指します。BPOはリソースを外部に求めるのに対し、RPAは社内での自動化を図る点で異なります。

この記事の監修者

菊池 星

菊池 星

東北大学卒業後に野村證券株式会社入社。資産運用における法人営業成績では同世代で全国1位を獲得し、その後中小企業向けの財務コンサルタントに選抜される。2021年からは、金融・ITコンサルタントとして企業向けに活動を始め、2022年6月から株式会社 full houseをスタートさせる。コンサルティングの経験から、代表取締役として、経理代行・アウトソーシングの「ビズネコ」を事業展開している。