経理は企業にとってなくてはならない職種のひとつです。しかし、最近では「経理はやめとけ」といった声を耳にする機会も多くなりました。しかしなぜ、このような意見があるのでしょうか。
本記事では、経理がなぜ大変なのかの理由と具体的な解決策について紹介します。また、大変な仕事である経理を効率よく行える手段として経理代行会社に依頼するという方法もあります。経理代行会社の選び方についても詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
そもそも経理とは?
経理とは、企業や組織の財務活動を記録し、経済活動の状況を把握や管理するための大切な業務です。経理の仕事は、収入や支出の管理、売上や仕入れ、給与支払いなど、あらゆる取引を正確に記録することから始まります。
さらに、経理は会計基準に基づき、財務諸表や決算書の作成にも携わります。これにより、企業の経営陣や株主は、会社の経済状態を正確に把握し、将来の戦略的な意思決定に役立てることができます。
加えて、経理は、組織のお金の流れを管理し、法令遵守にも重要な役割も担っています。この役割には、税務申告の準備や監査対応を行い、トラブルを未然に防ぐ役割も含まれます。そのため、経理は大変な仕事でありながらも、会社にとって経理は欠かせない存在であり、経営の基盤を支える要となる仕事です。
なお、経理・会計・財務の違いについては、以下の記事も参考にしてみてください。
経理の仕事内容
経理は大変な仕事といわれますが、具体的にはどのような業務なのでしょうか。ここでは、「日次業務」、「月次業務」、「年次業務」の3つに分けて経理の仕事内容を紹介します。「経理はやめとけ」といわれたことがある方はぜひ参考にしてください。
日次業務(毎日の仕事)
経理の主な日次業務には、日々の取引記録と確認作業が含まれます。具体的には、売上や仕入れに伴う請求書の処理や、銀行口座への入金・出金の記録、現金の管理などがあります。経理の毎日の仕事は、日々の資金状況や取引の履歴を正確に反映するために必要であり、会社の財務状況を把握するために欠かせません。
また、社内の他部署や外部の取引先とのコミュニケーションも大変で、支払い漏れや入力ミスなどのトラブルを防ぐために慎重な確認が求められます。日次業務を怠ると、後々の業務に負荷がかかり、誤差やトラブルの原因になるため、大変ではありますが、経理担当者は正確かつ迅速な対応を心がけています。
月次業務(毎月の仕事)
経理の月次業務には、月末に行う決算や帳簿の締め作業が含まれます。1ヶ月分の収支を整理し、貸借対照表や損益計算書の基となるデータを整える工程です。具体的には、各取引の確認や消込作業、月次の帳簿の修正などが行われます。
また、固定費や変動費の集計、給与や経費の支払い処理も含まれ、収益と支出のバランスを詳細に分析することが求められるため大変な仕事ともいえるでしょう。
しかし、経理担当者が月次業務を行うことで、経営者は、月次単位での経営状況を把握し、戦略的な判断材料として活用できます。月次業務は、経営判断のスピードや精度に直結するため、経理担当者のスキルや正確さが問われる大変ながらもやりがいのある業務です。
年次業務(毎年の仕事)
年次業務は、経理にとって最も重要かつ大変な業務のひとつで、年間の収支をまとめ、決算書を作成する工程を指します。
年度末には、年間のすべての取引を集計し、税務申告や株主報告に必要な財務諸表を作成します。特に、税務に関しては、法人税や消費税の申告が必要で、会計基準や税法に基づいた正確な処理が求められるため大変です。
また、企業が監査を受ける場合、監査法人の指摘に対応し、財務データの整合性を確認することも重要です。そのため、年次業務は、経理の知識と経験が試される場面であり、ミスが企業の信頼に関わるため、慎重な対応が求められます。
なお、年次業務として決算があります。決算における経理業務については、以下の記事も参考にしてください。
経理が大変な理由5選
経理が大変な理由として主に以下の理由があげられます。
- お金に関わる仕事で責任が重い
- 直接的な評価を受けづらい
- ミスが許されない
- 単純作業がつまらない
- 決算期の対応が大変
ここでは、それぞれの理由について確認していきましょう。
お金に関わる仕事で責任が重い
経理は、会社のお金に直接関わる仕事であり、責任の重さは他の職種と比べても非常に大きいです。経理が管理する収支や資金繰りのデータは、企業の存続や成長に直結しており、ひとつのミスが大きな損失を招く恐れがあります。
また、税務申告や法令遵守も経理の仕事の一環であり、万が一のミスが発覚すると企業に罰則や信用を失うというかたちで跳ね返ってきます。そのため、経理担当者は日々、会社の基盤を支える責任感を強く感じながら業務に取り組まなければなりません。
ミスをしないための慎重な確認や細やかな気配りが求められ、その緊張感が業務の大変さにつながっています。なお、振込などのお金に関わる仕事は外部委託することもできます。振込代行サービスについては、以下の記事もご覧ください。
直接的な評価を受けづらい
経理の仕事は、会社全体を支える重要な業務でありながら、その成果が直接的に評価されにくい面があります。たとえば営業やマーケティングのように、目に見える売上増加や新規顧客の獲得といった成果が数字として表れにくく、評価基準が曖昧になりがちです。
また、経理の役割には、トラブルを未然に防ぐことも含まれているため、大きなトラブルが発生しない限り、その努力や貢献が目立つことがありません。
そのため、経理担当者は自らの業務に誇りを持ちながらも、自己評価やモチベーションの維持が難しい場面に直面することが多くなります。こうした「縁の下の力持ち」的な立場が、経理業務の大変さにつながってしまっています。
ミスが許されない
経理の仕事には、他の業務に比べてミスが許されないという厳しい側面があります。経理は、数字を正確に扱うことが求められ、わずかな誤差や記入ミスが大きな問題に発展する可能性があります。
特に、決算業務や税務申告においては、少しの誤りが重大な結果を招くリスクがあるため、細やかな作業と慎重さが欠かせません。経理担当者は、日々の業務で一つひとつの数字や処理を確認しながら、ダブルチェックを行うことが求められ、作業には精神的なプレッシャーも伴います。
また、万が一ミスが発生した場合、修正の手間がかかり、周囲への影響も大きいため、経理担当者には高い集中力と責任感が要求され、大変な仕事です。
なお、ミスの多い経費精算業務は経理代行会社に依頼することもできます。経費精算代行については以下の記事も参考にしてください。
単純作業がつまらない
経理には、データの入力や書類の整理など、単純で反復的な作業も多く含まれます。日々の取引記録や伝票処理、帳簿のチェックなど、細かい作業を繰り返すことが多く、単調になりがちです。
このため、経理の仕事をつまらないと感じることも少なくありません。しかし、単純作業といえどもミスが許されず、注意深く行う必要があるため、集中力を維持しながらの作業が求められます。
また、同じような業務が続くことで、精神的な負担やモチベーションの低下が生じやすい点も大変な理由です。単純作業が続く一方で、高い正確性が求められる点が、経理業務の苦労のひとつとなっています。
なお、記帳などの単純作業は外部委託することもできます。記帳代行サービスについては、以下の記事も参考にしてください。
決算期の対応が大変
経理にとって、決算期は最も負担が増える時期です。決算期には、通常の業務に加えて膨大なデータの集計や帳簿の締め作業、財務諸表の作成が求められます。また、税務申告や監査対応も同時に行う必要があり、非常に多忙な時期となります。
さらに、決算期は会社の経営陣や株主に対する報告が行われる重要なタイミングであるため、正確さとスピードが何よりも求められ、プレッシャーも増します。ミスが発生すると再確認や修正に追われ、スケジュールがタイトになるため、経理担当者は膨大な業務量と向き合いながら、長時間労働になることも少なくありません。
このように、決算期の対応は、経理にとって負担が大きく、大変な業務のひとつとなっています。なお、決算業務を外部委託することも可能です。決算代行サービスについては、以下の記事も参考にしてください。
経理を楽にする解決策
大変だといわれる経理業務を楽にする解決策として以下のような方法があげられます。
- 経理業務をマニュアル化する
- 帳簿管理をペーパーレス化する
- 経理代行会社へ依頼する
自社の抱える課題に合わせて、それぞれの改善方法を試してみてください。
経理業務をマニュアル化する
経理業務を楽にするためには、業務のマニュアル化が効果的です。日々の経理作業には、取引記録や伝票処理、帳簿管理といったルーティン業務が多く含まれますが、これらをマニュアルとして体系化することで、誰でも同じ手順で正確に作業を進められるようになります。
マニュアルがあれば、新たに担当者が変わった際の教育がスムーズになり、業務の引き継ぎやミスの削減にもつながります。また、マニュアル化された業務フローに沿って作業を行うことで、担当者が一貫性を持って業務を進められ、効率も向上します。
結果として、作業時間が短縮されるだけでなく、安心して経理業務に取り組むための土台が整うでしょう。なお、経理のマニュアル化については、以下の記事も参考にしてください。
帳簿管理をペーパーレス化する
帳簿管理をペーパーレス化することも、経理業務を楽にするための有効な方法です。従来の紙ベースの管理では、膨大な量の帳票や伝票の整理に時間がかかり、スペースの確保も課題になります。
ペーパーレス化を進めることで、デジタルデータとして帳簿を管理でき、必要な情報をすぐに検索や確認できるようになります。また、紙資料の紛失リスクが軽減され、長期的な保管もデジタル上で安全に行えるため、セキュリティ面の向上も期待できます。
こうしたデジタルツールの活用により、経理業務の効率化が進み、負担の軽減とミスの削減が可能になります。なお、経理のペーパーレス化についてはこちらの記事も参考にしてください。
経理代行会社へ依頼する
経理業務の負担を軽減するために、経理代行会社へ業務を委託する方法もあります。特に、経理部門の人員が限られていたり、繁忙期の負担が大きかったりする企業にとっては有効な解決策です。
経理代行会社に依頼することで、日常的な経費精算や帳簿記入から、月次や年次の決算、税務申告のサポートまで、幅広い業務をプロに任せることができます。
これにより、社内の経理担当者は本来の業務に集中でき、戦略的な経営判断のためのデータ分析や改善に時間を割くことが可能になります。経理代行会社の活用により、効率化とコスト削減を図りつつ、経理業務全体をスムーズに進められる環境が整います。
なお、経理代行サービスについては、こちらの記事も参考にしてください。
経理代行会社の選び方
大変な経理を楽にするためには経理代行会社の活用がおすすめです。しかし、自社にあった経理代行会社はどのように選べばよいのでしょうか。ここでは、経理代行会社の選び方のポイントとして、以下の点について詳しく解説します。
- 長く付き合える会社を選ぶ
- 業種や業界への理解のある会社を選ぶ
- 予算に合った提案ができる会社を選ぶ
長く付き合える会社を選ぶ
経理代行会社を選ぶ際には、長期的に信頼関係を築ける会社を選ぶことが重要です。経理業務は毎月行う業務もあり、長期にわたるサポートが前提となるため、安定的にサポートしてもらえる会社かどうかを確認しましょう。
信頼できる経理代行会社は、単に作業を代行するだけでなく、会社の成長や変化に合わせた柔軟な対応をしてくれます。また、経理代行会社が継続的に担当者を変えずにサポートしてくれることで、企業の経営方針や財務状況に理解を深めてもらえます。
経理業務は会社の経営基盤を支える重要な分野であり、長期間にわたるサポートを前提に考えましょう。信頼性が高く、迅速で丁寧な対応をしてくれる経理代行会社を選ぶことが、成功につながります。
なお、会社設立時の経理については、こちらの記事も参考にしてください。
加えて、上場準備企業の経理については、こちらでも触れています。
業種や業界への理解のある会社を選ぶ
経理代行会社を選ぶ際には、業種や業界への理解のある会社を選ぶことがポイントです。なぜなら、業界ごとに求められる経理処理や会計基準には微妙な違いがあるからです。たとえば、製造業では在庫管理が重要視され、サービス業では売上の記録や人件費管理が重点となります。
業界に詳しい経理代行会社であれば、業界特有の経理ニーズに応じたサポートが可能であり、的確なアドバイスや効率化の提案も期待できます。また、業界特有の法規制や税制についても理解があるため、法令遵守の面でも安心して任せることができます。
経理代行会社の知見を確認し、業界のニーズに適したサポートを受けられるかどうかを見極めることが、経理業務をスムーズに進めるための大切なポイントです。
予算に合った提案ができる会社を選ぶ
経理代行を依頼する際には、会社の予算に見合った提案ができる経理代行会社を選ぶことも重要です。経理代行サービスにはさまざまな料金プランがあり、日次業務だけではなく月次業務や年次業務まで、依頼する業務範囲に応じてコストが変動します。
コストパフォーマンスを最大化するためには、自社が求める業務範囲を明確にし、必要なサービスを的確に提供できる経理代行会社を選ぶことがポイントです。優れた経理代行会社は、企業の規模や財務状況に応じて柔軟に提案を行い、予算内で最大限のサポートを提供する姿勢を持っています。
また、初期費用や月額料金の詳細についても透明性を持って説明してくれる会社であれば、長期的に安心して付き合うことができるでしょう。なお、経理代行サービスの費用相場については、こちらの記事も参考にしてください。
まとめ
「経理はやめとけ」といわれる理由として、お金にかかる仕事である責任の重さやミスが許されないプレッシャー、単純作業が多くてつまらないということがあげられます。経理が大変な理由を解決する方法として、経理業務のマニュアル化やペーパーレス化をすすめることが大切です。
なお、大変な経理業務は経理代行会社へ依頼することも解決策のひとつです。
弊社では、経理代行サービスのビズネコを提供しています。日常的な経理業務だけではなく、会計ソフトの導入支援から財務のコンサルティングまで幅広く対応が可能です。まずは、お気軽にお問い合わせください。
経理の大変さに関するのよくあるご質問
経理の大変さについてのお問い合わせを多くいただきます。ここでは、経理の大変さに関するよくあるご質問についてまとめて紹介します。
経理のつらいことは何ですか?
経理のつらい点は、正確性が求められるため、些細なミスも許されないプレッシャーがある点です。さらに、単調な作業が多く、日々の反復する業務に対して集中力を維持するのが難しいこともあります。また、決算期や月末には膨大な業務量に追われ、長時間労働になりやすい点も負担が大きいです。
経理の仕事は大変ですか?
経理の仕事は非常に大変です。日々の正確な記帳や報告に加えて、月次や年次の決算や税務申告など、細かな確認作業が必要になります。また、法令遵守の観点からも常に最新の知識を求められ、業務のプレッシャーが大きくなる点もあげられます。加えて、トラブルが許されない緊張感も、経理業務の大変さへつながるでしょう。
経理と財務のどちらが難しいですか?
経理と財務はそれぞれ異なる難しさがあります。経理は正確な処理と細かな業務が多く、ミスが許されません。一方で、財務は資金調達や投資が求められ、経営に直結するため高度な分析力が必要です。全体的に、判断力が問われる分、財務のほうが難しいと感じる人も多いですが、細かな作業が苦手なら経理のほうが難しいです。