企業が成長するために欠かせないのが「コア業務」です。しかし、具体的に何を指すのか、ノンコア業務とはどのように違うのか、といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、コア業務とノンコア業務の違いをわかりやすく解説し、社内業務を効率化するための具体的なポイントを紹介します。
また、企業がコア業務に集中できない理由や、社内の業務を洗い出す手順、ノンコア業務のアウトソーシングスタイルについても詳しく解説します。ぜひ、最後までご覧ください。
目次
コア業務とは?
コア業務とは、企業や組織の中心的な活動や、事業の目標を達成するために直接関与する業務のことを指します。コア業務は、企業の競争優位性を支えるものであり、他社との差別化を図るために重要な役割を果たします。
例えば、製造業であれば製品の設計や生産プロセス、技術革新などがコア業務に該当します。サービス業では顧客対応やサービス提供の質の向上があげられます。
コア業務は企業の収益に直結するため、組織の成長や発展に欠かせません。そのため、社内でのリソース投入や優先順位も高く、経営陣や従業員が集中して取り組むべき分野となります。
さらに、コア業務の効果的な遂行は企業のブランド価値を高め、市場での信頼を担保することにもつながります。
ノンコア業務とは?
ノンコア業務とは、企業の中心的な活動ではなく、コア業務をサポートするために付随する業務を指します。経理や人事、情報システム、清掃などの管理業務やバックオフィス業務が含まれます。
ノンコア業務は直接的に収益を生み出すものではありませんが、コア業務を円滑に進めるためには必要不可欠です。
例えば、従業員が効率よく働けるようにするためのオフィス環境の整備や、データの管理、給与計算などがノンコア業務に該当します。ノンコア業務は外部に委託されることも多く、アウトソーシングによってコスト削減や効率化を図る企業も少なくありません。
さらに、ノンコア業務を適切に行うことで、従業員の働きやすさやモチベーションの向上にもつながり、結果として全体の生産性向上につながります。
コア業務とノンコア業務の違い
コア業務とノンコア業務の違いは、その企業の主な売上に直結するかどうかという点にあります。コア業務は企業の競争力を高め、成長を促すための中心的な活動であり、企業の存在意義に深く関わります。
一方で、ノンコア業務は、コア業務が効果的に遂行されるためのサポート役という立ち位置になります。
また、コア業務は専門的な知識やスキルを必要とすることが多く、その分野でのノウハウや技術が企業の強みとなります。
一方、ノンコア業務は比較的一般的な業務であり、多くの場合、外部業者に委託することが可能です。
コア業務とノンコア業務の違いをまとめると、以下のような表になります。
コア業務 | ノンコア業務 | |
---|---|---|
売上への関与 | 会社の利益や売上に直結する | 直接的には売上につながらない |
スキル | 特定の分野でのノウハウや技術が多い | 一般的な知識や業務が多い |
主な部署 | 製品開発部・営業部・マーケティング部 | 経理部・人事部・情報システム部 |
属人化 | 属人化されやすい | 標準化しやすい |
委託の難易度 | 内製化させることが多い | 外注できることが多い |
このように、コア業務とノンコア業務はそれぞれの役割や重要性が異なり、企業の運営において両者のバランスを取ることが重要です。両者の効果的な連携は、企業全体のパフォーマンスを最大化し、持続可能な成長を支える鍵となります。
コア業務に集中するできない理由
企業がコア業務に集中できない理由として、以下のような点があげられます。
- コア業務以外の負担増加
- 会社内での人材不足
- 業務の効率化への抵抗感
ここでは、それぞれの理由や背景にある課題について詳しく解説していきます。
コア業務以外の負担増加
コア業務に集中できない理由のひとつとして、コア業務以外の負担が増加していることがあげられます。経理や人事、総務といったノンコア業務が増えると、従業員は本来の職務に割く時間が減ってしまい、業務全体の効率が低下してしまいます。
特に、中小企業では、限られた人員でさまざまな業務をこなさなければならず、結果的にコア業務に集中する余裕がなくなることが多くあります。その結果、企業の成長や競争力の強化に向けた活動が疎かになるリスクが高まります。
なお、中小企業では「一人経理」として、経理の担当者が1人しかいない場合もあります。「一人経理」については、以下の記事もご覧ください。
会社内での人材不足
コア業務に専念できない理由には、会社内での人材不足もあるでしょう。必要なスキルを持つ専門家が不足していると、コア業務を担当する人材が限られ、結果的に1人あたりの負担が増加してしまいます。
その結果、新たなプロジェクトや成長機会に対応するためのリソースが不足し、企業全体の成長が停滞することもあります。特に、技術革新や市場変化が激しい業界では、適切な人材を確保することが企業の存続と発展に直結するため、深刻な課題となります。
なお、経理部門では退職により人手不足に陥る場合もあります。経理担当者の退職理由については以下の記事も参考にしてください。
業務の効率化への抵抗感
コア業務に集中できない要因として、業務の効率化に対する抵抗感もあるでしょう。特に、中小企業や老舗の企業では、新しい技術やシステムの導入に時間とコストがかかり、従業員は慣れ親しんだ方法を変えることに抵抗を感じることが多いです。
新しい技術への抵抗感が、業務プロセスの改善や自動化の遅れにつながり、結果として本来のコア業務に割く時間が減少してしまうでしょう。さらに、効率化の遅れは競争力の低下を招き、企業全体のパフォーマンスの悪化にもつながってしまいます。
コア業務に集中するメリット
企業がコア業務に集中することで、以下のようなメリットが得られます。
- 業務の効率化によるコストの削減
- 競合企業との差別化が図れる
- 新規事業やイノベーションの促進
ここでは、それぞれのメリットや効果について詳しく解説します。
業務の効率化によるコストの削減
コア業務に集中することにより、業務の効率化が進み、結果としてコストの削減が実現します。不要な作業や重複した業務を排除することで、リソースの最適化が図れます。
特に、製造業やサービス業では、プロセスの見直しや自動化を進めることで、時間とコストの両方を節約することが可能です。
その結果、企業は限られた予算を最大限に活用し、収益性を向上させることができます。また、コスト削減は価格競争力の強化にもつながり、市場での優位性を担保することにもつながるでしょう。
競合企業との差別化が図れる
コア業務に集中することで、競合企業との差別化が図れます。独自の技術やサービスに特化し、顧客に対して付加価値を提供することが可能となります。
例えば、特定の製品やサービスの品質を向上させることにより、顧客満足度が高まり、リピーターの増加や新規顧客の獲得が期待できます。
さらに、専門知識やノウハウを蓄積することで、競争優位性を高めることができ、市場での立ち位置を固めることにもつながるでしょう。
その結果、コア業務への集中は、企業のブランド価値を向上させるために重要な戦略ともいえます。
新規事業やイノベーションの促進
コア業務に集中することで、新規事業やイノベーションの促進が可能になります。既存の業務が効率化されることで、リソースに余裕が生まれ、新たなプロジェクトやアイデアに投資する時間と資金が確保できます。
例えば、研究開発に専念することで、画期的な製品やサービスの創出が期待できます。さらに、従業員の創造性が発揮される環境を整えることで、企業全体に革新のマインドが生まれ、モチベーションの向上や持続的な成長が実現できるでしょう。
その結果、企業は市場の変化に柔軟に対応し、新しいビジネスチャンスを掴むことにつながります。
必要な業務を効率化する方法と手順
コア業務など、会社の成長に直結する業務を洗い出して効率化する方法と手順は以下のとおりです。
- step1:現状の業務を洗い出す
- step2:コア業務とノンコア業務を仕分ける
- step3:業務内容を客観的に見直す
ここでは、それぞれのステップについて詳しく解説します。
step1:現状の業務を洗い出す
必要な業務を効率化する第一歩は、現状の業務を洗い出し、詳細に把握することです。まず、全ての部署やチームから業務内容をリストアップし、日常的に行っている作業やプロジェクトを記録します。
この段階では、個々のタスクだけでなく、それらに費やされる時間やリソースも明確にすることが重要です。
従業員へのインタビューやアンケート、業務日報の分析などを通じて、現状の業務フローを細かく洗い出すことで、組織全体の動きを可視化できます。
その結果、次のステップで効果的に業務を仕分け、見直すための基盤が整います。
step2:コア業務とノンコア業務を仕分ける
現状の業務を洗い出した後、次に行うべきは、それらの業務をコア業務とノンコア業務に仕分けることです。
コア業務は、企業の競争力を直接支える活動であり、収益に直結する重要な業務です。一方、ノンコア業務は、コア業務をサポートする役割を持ち、間接的に企業の運営に貢献します。
仕分けの際には、各業務が企業の戦略目標にどの程度関わっているかを評価し、業務の優先順位を明確にします。その結果、リソースの配分が最適化され、重要な業務に集中できるようになります。
step3:業務内容を客観的に見直す
最後のステップでは、仕分けた業務内容を客観的に見直します。この段階では、業務プロセスの効率や有効性を評価し、改善の余地がないかを検討します。
外部のコンサルタントや第三者の視点を取り入れることで、バイアスのない評価が可能となります。また、最新の技術や業界のベストプラクティスを参考にして、業務の改善点を特定します。
見直しによって、業務の無駄を削減し、効率的な運営を目指すことが、企業全体のパフォーマンス向上につながります。
ノンコア業務のアウトソーシングスタイル
ノンコア業務が外部の業者に業務委託やアウトソーシングをすることも可能な場合があります。ノンコア業務のアウトソーシングスタイルには、主に以下の3種類があります。
- PUSH OUT(プッシュアウト)型
- ADD ON(アドオン)型
- BUY IN(バイイン)型
PUSH OUT(プッシュアウト)型
PUSH OUT型のアウトソーシングは、既存のノンコア業務をそのまま外部の業者に委託するスタイルです。いわゆる「丸投げ」という方法も含まれます。PUSH OUT型の方式では、企業が現在行っている業務プロセスや手順をほとんど変えずに、そのまま外部のパートナーに引き渡します。
例えば、経理や人事の業務を外部の専門業者に依頼することで、社内のリソースをコア業務に集中させることができます。PUSH OUT型の方法はスピーディに実行できるため、短期間で業務効率化を図りたい企業にとっておすすめです。また、外部業者の専門知識や経験を活用することで、業務品質の向上も期待できます。
ADD ON(アドオン)型
ADD ON型のアウトソーシングは、既存の業務に新たな機能やサービスを追加する流れで、ノンコア業務を効率化するスタイルです。ADD ON型の方式では、企業が持つコア業務のフレームワークは維持しつつ、外部の専門業者の力を借りて補完的に進めていきます。
例えば、顧客サポート業務において、24時間対応のコールセンターを外部に委託することで、サービスレベルの向上を図ります。ADD ON型の方法は、企業の成長や顧客ニーズに柔軟に対応するために有効であり、競争力を維持しつつ効率化を進めることにつながります。
BUY IN(バイイン)型
BUY IN型のアウトソーシングは、外部の専門業者を内部のプロジェクトやチームに組み込むスタイルです。BUY IN型の方式では、企業が持つノウハウやリソースを補完する形で、外部の専門家や業者が直接的に関与します。
例えば、新しいITシステムの導入プロジェクトにおいて、外部の技術専門家をプロジェクトチームに加えることで、スムーズな進行と高い技術力の確保を図ります。BUY IN型の方法は、企業内部のリソース不足や専門知識の欠如を補うために有効であり、スピーディかつ効果的にプロジェクトを推進することができます。
社内業務を効率化するポイント
社内業務を効率化する際には以下のポイントを意識しましょう。
- 業務マニュアルを作成する
- 社員が一丸となって意識する
- 外部委託を検討する
ここでは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。ぜひコア業務とノンコア業務を見直す際の参考にしてください。
業務マニュアルを作成する
社内業務を効率化するためには、業務マニュアルを作成することがポイントです。業務マニュアルは、各業務の手順や注意点を詳細に記載し、誰でも同じ品質で業務を遂行できるようにするための説明書やガイドラインのことです。
業務マニュアルを作成することで、新入社員や別の部署から異動してきた社員も迅速に業務を理解し、ミスを減らすことができます。
また、業務の標準化が進むことで、効率的なやり方を維持することが可能となり、業務のムラやばらつきを減少させます。加えて、定期的なマニュアルの更新と社員教育を行うことで、常に最新の業務手順を維持し、組織全体のパフォーマンス向上につながります。
社員が一丸となって意識する
業務効率化の成功には、社員が一丸となって意識を共有することもポイントです。個々の社員が自分の役割を理解し、全体の目標に向かって協力する姿勢が求められます。
そのためには、定期的なミーティングやコミュニケーションを通じて、業務改善の意識を高めることが大切です。また、効率化の取り組みに対する成果を評価し、適切なフィードバックを行うことで、社員のモチベーションを維持することもよいでしょう。
チーム全体が一体感を持ち、効率的な働き方を推進することで、業務全体の生産性が向上し、より効果的な業務遂行が可能となります。
外部委託を検討する
社内業務の効率化を図るうえで、外部委託を検討することもひとつの手です。特に、ノンコア業務やリソースが必要な業務については、外部の専門業者に委託することで、社内のリソースをコア業務に集中させることができます。
その結果、社内の人材や時間の最適化が図られ、業務全体の効率が向上します。さらに、外部業者の専門知識や最新の技術を活用することで、業務の質を向上させることも可能です。
なお、外部委託のことをBPOとも呼びます。経理業務のBPOについては以下の記事も参考にしてください。
業務をアウトソーシングする際の注意点
業務をアウトソーシングする際には、以下の点に注意しなければなりません。
- 外注したい業務内容を明確にする
- 契約内容や解約条件を事前に確認する
- 長く付き合える企業を選ぶ
ここでは、それぞれの注意点について詳しく解説します。
外注したい業務内容を明確にする
業務をアウトソーシングする際には、まず外注したい業務内容を明確にすることが重要です。具体的な業務範囲や期待する成果を詳細に定義することで、外部業者との誤解やトラブルを防ぐことができます。
また、業務の目的や目標を共有することで、外部パートナーとの協力体制が強化され、円滑な業務運営が可能となります。
また、業務内容が曖昧なまま進めてしまうと、作業の品質や納期に影響が出る可能性があるため、契約前に十分なコミュニケーションを取ることが大切です。
契約内容や解約条件を事前に確認する
アウトソーシングを行う際には、契約内容や解約条件を事前に確認しておきましょう。契約書には、業務範囲や料金体系、納期などの基本事項に加えて、サービスの品質基準やトラブルへの対応方法など、詳細な取り決めを記載しておくことがおすすめです。
また、解約条件についても明確にしておくことに注意しましょう。契約前にこれらのポイントをしっかりと確認し、双方が納得した上で契約を締結することで、安心して業務を委託できる環境が整います。
長く付き合える企業を選ぶ
アウトソーシング先として長く付き合える企業を選ぶことも大切です。短期的なコスト削減だけを追求するのではなく、信頼関係を築けるパートナー企業を選ぶことが重要です。
過去の実績や評判を調査するだけではなく、担当者のコミュニケーション能力も踏まえて判断します。
また、企業文化や価値観が自社と合うかどうかも重要なポイントです。長期的な視野で協力関係を築くことで、継続的な改善や新しい提案が期待でき、双方にとって有益なパートナーシップが形成されます。
なお、上場準備のタイミングにおける経理については以下の記事も参考にしてください。
まとめ
コア業務は、会社の成長や売上に直結する核心となる業務です。一方で、ノンコア業務は、コア業務のサポート役になります。中小企業をはじめとして、人材不足は企業の大きな課題であり、ノンコア業務への対応から、コア業務に集中できない担当者も多くいます。
そのため、必要な業務を洗い出し、ノンコア業務を外部業者にアウトソーシングすることもおすすめです。
ノンコア業務として代表的なものが経理業務です。経理業務を効率化する具体的な方法はいくつかありますが、最もおすすめな方法は経理代行サービスに依頼することです。
なお、弊社では、経理代行サービスのビズネコを提供しています。記帳代行から財務のコンサルティングまで幅広く対応が可能です。まずは、お気軽にお問い合わせください。
コア業務のよくあるご質問
コア業務についてのお問い合わせを多くいただきます。ここでは、コア業務に関するよくあるご質問についてまとめて紹介します。
コア業務の具体例は何ですか?
コア業務の具体例として、製造業での製品設計や生産プロセス、サービス業での顧客対応やサービス提供があげられます。また、営業部門やマーケティング部門もコア業務です。企業の競争力を直接支え、収益に直結する重要な活動をする部署や職種にあたります。
ノンコア業務の具体例は何ですか?
ノンコア業務の具体例として、経理や人事、総務、情報システム、清掃などの管理業務やバックオフィス業務が挙げられます。これらの業務は直接的な収益には結びつかないものの、コア業務の円滑な運営を支える役割を持ちます。また、ノンコア業務のおかげで、社員にとって働きやすい環境となり、モチベーションの向上にもつながります。
BPO業務とは何ですか?
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業務とは、企業の業務プロセスの一部を外部の専門業者に委託することです。例えば、カスタマーサポートや給与計算、データ入力などの業務が対象となり、効率化やコスト削減を図ります。その結果、人材リソースや費用を会社の成長に回すこともできます。