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経理代行の費用相場はいくら?アウトソーシングのメリットやコツも解説
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経理代行の費用相場はいくら?アウトソーシングのメリットやコツも解説

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企業の成長を支える重要な役割を担うのが経理業務です。しかし、専門知識が必要なため、中小企業では人材不足やコスト面で苦労しているケースも少なくありません。

 

そこで注目されているのが、経理業務を専門業者に委託する「経理代行」や「経理アウトソーシング」です。

 

本記事では、経理代行の費用相場や、アウトソーシングするメリット、そして成功させるためのコツについて解説します。経理代行がどのように企業の成長に貢献できるのかについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

経理代行(経理アウトソーシング)とは?

経理代行(経理アウトソーシング)とは、企業が自社の経理業務を外部の専門業者に委託することを指します。経理代行は、企業の規模や業種に関わらず、経理業務の効率化とコスト削減を目的として利用されます。

 

特に、中小企業やベンチャー企業など、経理の人材が不足している企業において人気があります。

 

また、グループ会社や関連会社をもつ大企業でも活用されています。グループ間の経理業務は、膨大な業務量で大変であるため、外部にアウトソーシングすることも多くあります。

 

なお、経理代行サービスの利用は、一時的なリソース不足を補うだけでなく、長期的な経営戦略としても有効です。企業が成長するにつれ、経理業務の複雑さも増していきますが、外部の専門家を活用することで、常に質の高いサービスを受け続けることができます。

 

そのため、経理代行会社は、企業の成長を支える重要なパートナーともいえるでしょう。

経理代行(経理アウトソーシング)がおすすめの企業

経理代行サービスの導入がおすすめの企業には、主に以下の2つの種類があります。

 

  • 「一人経理」や専任の担当者がいない企業
  • グループ会社や関連会社をもつ企業

 

それぞれの企業において経理代行がおすすめの理由を詳しく解説します。

 

「一人経理」や専任の担当者がいない企業

 

経理部門の担当者が社内に1人しかいない、いわゆる「一人経理」や、そもそも専任の担当者がいない企業にとって、経理代行は効果的です。これらの企業では、経理業務を分担することができず、負担が大きくなります。

 

経理代行を利用することで、業務の負担を軽減し、専門的な知識やスキルを持つプロに任せることができます。その結果、業務の効率化が図れ、人的ミスが発生するリスクも減少できます。

 

なお、「一人経理」については、以下の記事も参考にしてください。

 

一人経理に潜むリスクとは?業務負担度チェックリストと解決策
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グループ会社や関連会社をもつ企業

 

グループ会社や関連会社をもつ企業も経理代行サービスの利用を検討することがおすすめです。複数の会社を管理する場合、経理業務はさらに複雑になり、膨大な労力と時間を要します。

 

経理代行を利用することで、各会社の経理データを統合して管理ができ、財務状況を一括で把握することができます。

 

また、専門業者のサポートにより、グループ全体の財務管理が効率化され、正確な財務報告やコンプライアンスの維持が可能になります。その結果、経営者はより戦略的な意思決定を行いやすくなります。

 

なお、大企業や上場準備企業の経理については、以下の記事でも紹介しています。

 

上場(IPO)準備企業の経理とは?役割や大変な理由とスケジュールを解説
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経理代行(経理アウトソーシング)の依頼先別と業務内容別の費用相場

経理代行(経理アウトソーシング)の費用相場は、一般的に5万円~50万円です。しかし、依頼先や業務内容によっても、料金は大きく異なります。ここでは、依頼先別と業務内容別で、経理代行の費用相場を紹介します。

 

【依頼先別】経理代行(経理アウトソーシング)の費用相場

 

経理代行の依頼先としては、主に「税理士事務所」と「経理代行会社」に2種類があります。ここでは、依頼先別で経理代行にかかる費用相場を詳しく解説します。ぜひ、外部委託を検討する際に参考にしてみてください。

 

税理士事務所に依頼する費用相場

 

税理士事務所に経理代行を依頼する費用相場は、一般的に10万円~60万円程度です。税理士事務所は、税理士資格を持つ専門家が在籍する組織です。

 

税理士事務所は、経理代行のなかでも、税務申告や税務調査を専門家に任せたい場合におすすめです。しかし、経理代行会社と比べて、料金が高くなってしまうこともあるため注意しましょう。

 

経理代行会社に依頼する費用相場

 

経理代行会社に経理代行を依頼する費用相場は、一般的に5万円~40万円程度です。経理代行会社は税理士事務所とは異なり、比較的安価でスピーディに契約を進めることができる点がメリットです。

 

また、グループ会社や関連会社をもつ企業の経理は複雑かつ膨大な作業量のため、税理士事務所では断られてしまうこともあります。しかし、経理代行会社では、複雑な案件や大型案件にも柔軟に取り組める点もポイントです。

 

【業務内容別】経理代行(経理アウトソーシング)の費用相場

 

経理代行の業務内容としては、主に「記帳代行」と「決算代行」の2種類があげられます。ここでは、それぞれの業務を外部委託した場合の費用相場について詳しく解説します。ぜひ経理の人材不足などでお悩みの際は参考にしてください。

 

記帳業務を依頼する費用相場

 

記帳業務を依頼する際の費用相場は、一般的に1万円~20万円程度です。記帳業務とは、領収書や請求書などの証憑書類をもとに、仕訳を行い、会計ソフトへ入力する作業です。記帳業務は、仕訳数によって、費用相場が異なります。

 

以下は、記帳代行業務における一般的な費用相場をまとめた料金表です。仕訳数が多くなれば、費用がかさみますが、1件あたりの単価を下げて依頼することも可能です。

仕訳数 費用相場
~100仕訳 1万円~5万円
100~300仕訳 2万円~6万円
300~500仕訳 3万円円~10万円
500~1,000仕訳 5万円~20万円
1,000仕訳~2,000仕訳 10円万~40万円
2,000仕訳~ 20万円~

 

なお、記帳代行の相場についてはこちらもご覧ください。

 

記帳代行の料金相場は?費用を抑えて依頼するポイントも解説
記帳代行の料金相場は?費用を抑えて依頼するポイントも解説

 

決算業務を依頼する費用相場

 

決算業務を依頼する際の費用相場は、一般的に15万円~40万円程度です。決算業務には、決算書の作成や、申告書の作成と申告が含まれます。

 

決算業務を代行する際の費用相場は、依頼先によって、以下の料金表のように変化します。ただし、依頼内容や業務の複雑さによっても異なるため注意しましょう。

決算代行の依頼先 費用相場
税理士事務所 10万円~50万円
経理代行会社 5万円~30万円

経理代行(経理アウトソーシング)を依頼するメリット

経理代行を依頼することで、以下のようなメリットがあります。

 

  • 経理部門における人件費を減らす
  • 事務作業の効率化ができる
  • 人的な入力ミスを改善できる
  • 不正行為を事前に防げる
  • 知識のある専門家にアドバイスを仰げる

 

ここでは、それぞれのメリットや効果について詳しく解説します。

 

経理部門における人件費を減らす

 

経理代行を利用することで、経理部門における人件費を大幅に削減することができます。自社で経理スタッフを雇用する場合、給与だけでなく、福利厚生や教育コストもかかりますが、外部に委託することでこれらの費用を削減できます。

 

また、繁忙期を中心とした短期的な依頼もでき、必要に応じて柔軟にサービスを利用できるため、経費の削減にもつながります。

 

なお、経費削減については以下の記事でも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

 

やってはいけない7つの経費削減!効果的なアイデア12選も紹介!
やってはいけない7つの経費削減!効果的なアイデア12選も紹介!

 

事務作業の効率化ができる

 

経理代行は、事務作業の効率化にも大きな効果があります。経理代行会社では、専門的なスタッフが高度なシステムやツールを使用し、スピーディかつ正確に業務を遂行します。

 

経理代行サービスを利用することで、社内の事務作業の負担が軽減され、他の重要なコア業務にリソースを集中させることが可能になります。結果として、全体的な業務効率が向上します。

 

人的な入力ミスを改善できる

 

経理代行を活用することで、人的な入力ミスを大幅に減らすことができます。経理代行会社は経験豊富なスタッフが会計ソフトやシステムを駆使することで、ミスのリスクを最小限に抑えています。

 

また、依頼元の企業と経理代行会社でチェックしていくことで、さらに精度を高めることも可能です。

 

企業としては、正確な財務データを維持することで、事業の見える化や経営判断の精度を高めることにもつながります。

 

不正行為を事前に防げる

 

経理代行を依頼することで、不正行為を事前に防ぐことにもつながります。外部の業者による定期的なチェックや監査を通じて、不正の兆候を早期に発見し、適切な対策ができます。

 

不正行為を防ぐことで、企業の信頼性と透明性が向上し、健全な経営を維持することが可能です。

 

また、専門的かつ客観的な視点により、内部の不正リスクが低減されるため、経営陣は安心して業務を任せることができます。さらに、経理代行会社のもつ、不正防止のための最新の手法や技術を導入することで、企業のコンプライアンス体制の強化にもつながります。

 

知識のある専門家にアドバイスを仰げる

 

経理代行サービスを通じて、知識のある専門家からアドバイスを得ることができる点もメリットです。経理や税務の最新情報や他社の実績から導き出されたプロフェッショナルな支援を受けることで、企業は経理における複雑な課題を解決し、より効果的な経営戦略を立てることができます。

 

企業の競争力が高まるだけではなく、専門家のアドバイスにより、経営者は最新の法規制や税制改正にも迅速に対応できます。その結果、リスクを最小限に抑えるだけではなく、無駄なコストの削減にもつながるでしょう。

経理代行(経理アウトソーシング)を依頼するデメリット

経理代行を依頼する際には、以下のようなデメリットがあることにも注意しましょう。

 

  • 毎月の外注費がかかる
  • 情報漏洩のリスクがある
  • 契約期間の縛りがある
  • ノウハウが社内に残らない
  • 反映にタイムラグが生じる

 

ここでは、それぞれのデメリットについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

 

毎月の外注費がかかる

 

経理代行を依頼する際のデメリットとして、毎月の外注費がかかる点があげられます。経理代行会社に依頼することで、自社で経理担当を雇用するよりもコスト削減が可能です。しかし、一定の外注費が発生してしまいます。

 

特に、中小企業にとっては、外注費が負担となる場合があります。依頼する業務の範囲や依頼先の業者における料金体系によっては、予想以上の費用がかかることもあるでしょう。そのため、事前にしっかりと予算を決めて見積もりを行うことが重要です。

 

なお、外注費については以下の記事もご覧ください。

 

外注費の勘定項目とは?仕分例や源泉徴収の必要性と注意点を解説
外注費の勘定項目とは?仕分例や源泉徴収の必要性と注意点を解説

 

情報漏洩のリスクがある

 

経理代行を依頼する際には、情報漏洩のリスクというデメリットもあります。経理業務には多くの機密情報が含まれており、それを外部に委託することで情報漏洩のリスクが高まります。

 

もちろん、経理代行会社ではセキュリティ対策を行っている場合がほとんどですが、完全にリスクを排除することは難しいこともあるでしょう。情報漏洩が発生すると企業の信用が損なわれるため、信頼できる業者を選び、自社でも情報の厳重な管理体制が求められます。

 

契約期間の縛りがある

 

経理代行には契約期間の縛りがある点もデメリットです。多くの経理代行業者は契約期間を設定しており、1ヵ月未満での短期間での解約が難しい場合もあります。

 

契約期間は、サービスの質を維持するために必要ですが、企業側にとっては柔軟な対応が難しくなることもあるでしょう。特に、急な経営方針の変更や業務内容の見直しが必要となった場合に、契約期間が障害となることがあるため注意しましょう。

 

ノウハウが社内に残らない

 

経理代行を利用すると、ノウハウが社内に残らないというデメリットもあります。経理業務を外部に委託することで、社内のスタッフが経理に関する知識やスキルを習得する機会が減少します。

 

その結果、長期的には自社内での経理能力が育成されず、依存度が高まる可能性があります。将来的に内製化を検討する際に、社内ノウハウの不足が障害となるため注意しましょう。

 

反映にタイムラグが生じる

 

経理代行を利用することで、業務の反映にタイムラグが生じる場合があります。外部業者が担当するため、指示を出してから実際に作業が完了するまでに時間がかかることがあります。

 

特に、急ぎの対応が必要な場合やリアルタイムでのデータ更新が求められる場合には、このタイムラグが問題となることがあります。そのため、スピーディに対応が必要な業務については、事前に外注先の業者としっかりとコミュニケーションを取ることが重要です。

経理代行(経理アウトソーシング)の選び方のコツやポイント

経理代行の選び方には、以下のようなコツやポイントがあります。

 

  • 社内で外注したい業務をまとめてから選ぶ
  • 円滑なコミュニケーションがとれる担当者を選ぶ
  • 契約期間や解約にかかる規則を確認して選ぶ
  • 情報セキュリティ対策をチェックしてから選ぶ
  • 数年先を見越して付き合える会社を選ぶ

 

社内で外注したい業務をまとめてから選ぶ

 

経理代行の選び方として、社内で外注したい業務をまとめてから業者を選ぶことがポイントです。経理業務は幅広いため、どの部分を外部に委託し、どの部分を社内で対応するのかを事前に整理しておくことが大切です。

 

具体的な業務範囲を明確にすることで、業者との契約内容がはっきりし、契約後のギャップがなく、期待するサービスを受けることができます。

 

円滑なコミュニケーションがとれる担当者を選ぶ

 

円滑なコミュニケーションがとれる担当者のいる経理代行サービスを選ぶこともポイントです。経理業務は日々の細かな連絡や調整が必要になるため、信頼できる担当者とスムーズにやり取りができることが成功の秘訣です。

 

また、担当者の対応力やコミュニケーションスキルを重視し、実際に打ち合わせを行いながら信頼関係を築けるかどうかを判断していきましょう。

 

契約期間や解約にかかる規則を確認して選ぶ

 

契約期間や解約にかかる規則を事前に確認しておくことも、安心のできる経理代行サービスを選ぶポイントです。多くの業者は一定の契約期間を設けており、早期解約に伴うペナルティがある場合もあります。

 

企業のニーズに合わせて柔軟に対応できる業者を選ぶために、契約条件や解約手続きについてしっかりと把握し、自社にとって不利にならないよう注意することが大切です。

 

情報セキュリティ対策をチェックしてから選ぶ

 

経理代行サービスを選ぶ際には、情報セキュリティ対策をチェックしておくことも重要なポイントです。経理業務には機密情報が多く含まれるため、外部業者に委託する際にはセキュリティ対策が十分に取られているかを確認することが必要不可欠です。

 

依頼先の企業におけるセキュリティポリシーや具体的な対策について詳しくチェックし、信頼性の高い業者を選ぶことが情報保護につながります。

 

数年先を見越して付き合える会社を選ぶ

 

数年先を見越して長期的に付き合える会社を選ぶことも、経理代行の委託先を決めるうえで大切なポイントです。

 

経理業務の外注は一時的なものではなく、継続的な関係を築いていくことになるでしょう。そのため、業者の信頼性や安定性、将来のサポート体制についても確認して、長期的に協力できるパートナーとして選ぶことが望ましいです。また、企業の成長とともに柔軟に対応してくれる業者を見つけることも、経理代行を活用するうえで重要です。

まとめ

経理代行や経理アウトソーシングは、企業が自社の経理業務を外部の業者に委託することで、経理業務の効率化やコストの削減につながります。

 

しかし、経理代行にかかる費用相場は、依頼先や依頼する業務内容によっても大きく異なります。

 

また、長期的な付き合いになるため、信頼のおける企業でスムーズにコミュニケーションのとれる担当者のいる企業を選ぶことが大切です。

 

なお、弊社では、数年先を見越して提案のできる経理代行サービスとして、ビズネコを提供しています。記帳代行から財務のコンサルティングまで幅広く対応が可能です。まずは、お気軽にお問い合わせください。

 

経理代行の費用相場に関するよくあるご質問

経理代行の費用相場についてのお問い合わせを多くいただきます。ここでは、経理代行の費用相場に関するよくあるご質問についてまとめて紹介します。

経理業務を丸投げするといくらくらいかかりますか?

経理業務を丸投げする場合の費用相場は、一般的に5万円~50万円程度です。ただし、外注先の企業の料金プランや、依頼内容で相場は大きく異なります。そのため、社内で事前に予算を決めて見積もりを依頼することがおすすめです。また、一部の業務を社内で行うことも検討できると費用を安く抑えることができます。

記帳代行の1仕訳あたりの相場はいくらですか?

記帳代行における1仕訳あたりの相場は、一般的に50円~150円程度です。基本的には、仕訳数が多くなるほど単価を下げて依頼できる場合が多いです。しかし、グループ会社や関連会社をもつ企業の記帳業務は、複雑かつ膨大な量になるため、相場よりも高くなってしま点も注意しましょう。

資格なしの経理代行や記帳代行は違法ですか?

経理代行や記帳代行について、税理士資格などの資格がない場合に対応しても違法ではありません。特に、記帳業務については、税理士しか対応できない「税理士業務」には該当しないため、問題ありません。ただし、資格がなくても信頼のおける企業に外注を検討することがおすすめです。

この記事の監修者

菊池 星

菊池 星

東北大学卒業後に野村證券株式会社入社。資産運用における法人営業成績では同世代で全国1位を獲得し、その後中小企業向けの財務コンサルタントに選抜される。2021年からは、金融・ITコンサルタントとして企業向けに活動を始め、2022年6月から株式会社 full houseをスタートさせる。コンサルティングの経験から、代表取締役として、経理代行・アウトソーシングの「ビズネコ」を事業展開している。