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経理の経理書類術!ファイリングの悩みを解決して業務負担を軽減する方法を解説
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経理の経理書類術!ファイリングの悩みを解決して業務負担を軽減する方法を解説

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経理の業務は多くの書類を取り扱います。領収書や請求書だけではなく、社外との契約書や社員の給与関連の書類までさまざまです。そのため、書類の管理が煩雑になってしまうこともあるでしょう。

 

本記事では、経理の書類整理術を紹介して、ファイリングの悩みを解決しながら業務負担を軽減する方法を解説します。また、経理の書類整理が不十分な場合のリスクや経理の書類整理の進め方にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

 

経理の書類整理が重要な理由

経理の書類整理は、企業運営の基盤を支える重要な業務です。経理書類には、取引記録や領収書、請求書、契約書などが含まれ、これらは企業の財務状況を正確に把握し、適切な意思決定を行うための大切な情報源となります。

 

適切に整理された書類は、税務申告や監査の際にもスムーズな対応を可能にし、時間やコストを削減できるでしょう。また、法的な義務を果たすためにも整理は欠かせません。書類が散乱していると必要な書類が即座に見つからないことで、法令遵守が難しくなる可能性があります。

 

さらに、経理書類の整理は業務効率を高めるだけでなく、従業員の作業負担を軽減し、不正やミスを防ぐ重要な手段です。そのため、企業の信頼性や透明性を維持するためにも、書類整理は避けて通れない基本的な業務といえるでしょう。

経理の書類整理が不十分な場合のリスク

経理の書類整理が不十分なことで企業には以下のようなリスクが発生します。

 

  • 書類の紛失で業務が滞る
  • 不正やミスにつながる
  • 会社の信頼低下に影響する

 

ここでは、それぞれのリスクについて詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。

 

書類の紛失で業務が滞る

 

経理書類を紛失することで、業務の進行が大幅に妨げられる可能性があります。特に、取引先との支払いや受領に関する証拠書類が見つからない場合、誤解やトラブルが生じ、取引先との関係悪化を招くこともあります。

 

また、税務申告の際に必要な証憑を紛失していると、適切な申告が行えず、追加の税負担や罰金が科されるリスクが高まります。さらに、内部業務でも書類が見つからないことで時間を浪費し、重要な意思決定の遅れにつながる場合があります。

 

そのため、書類の紛失は業務全体の停滞を引き起こし、結果的に企業の成長や信頼性に大きな悪影響を及ぼしてしまいます。

 

不正やミスにつながる

 

経理書類が十分に整理されていないと、不正行為や記録ミスが発生しやすい環境を作り出してしまいます。例えば、複数の書類が混在している場合、金額の二重計上や不正請求の見逃しなどが発生する可能性があります。

 

また、書類が散らかった環境では担当者間の連携が滞りやすく、確認作業が不十分になることで記載ミスが増えることもあります。ミスが繰り返されると、企業の財務データの信頼性が損なわれ、経営判断に重大な影響を与える可能性があります。

 

不正の温床やミスを防ぐためにも、書類の整理と管理を徹底することは重要な課題といえるでしょう。

 

会社の信頼低下に影響する

 

経理書類の整理に不備があると、企業の信頼性が大きく損なわれるリスクがあります。特に、取引先や顧客が企業の対応に不備を感じた場合、ビジネス関係の継続が困難になる可能性があります。

 

また、税務署や監査機関からの指摘が繰り返されることで、法令遵守に関する評価が低下し、社会的信用の喪失につながる恐れもあります。さらに、書類管理がずさんな企業は内部統制が弱いと見なされ、投資家や金融機関などのステークホルダーからの信頼を得ることが難しくなるでしょう。

 

このように、書類整理の不備は、経営全体の基盤を揺るがすリスクともいえるでしょう。

経理の書類整理術の基本は「保存期間」と「種類」

経理の書類整理術の基本は「保存期間」と「種類」です。具体的には以下のように分類できます。

 

  • 分類1:永久保存する書類
  • 分類2:10年間保存する書類
  • 分類3:7年間保存する書類
  • 分類4:給与関係の書類

 

ここでは、それぞれに分類された書類について具体的に解説していきます。

 

分類1:永久保存する書類

 

企業活動において、永久保存が求められる書類は特に重要なものです。これには、会社設立の際に作成される定款や登記簿謄本、株主総会議事録などが該当します。これらの書類は法的根拠や経営基盤に直結するものであり、必要な場面で即座に提示できるよう適切に管理されていることが求められます。

 

また、契約書の中でも長期間にわたり効力を持つものや、証拠として活用される可能性のあるものも永久保存が必要です。永久保存しなければならない書類を紛失すると、企業の運営に支障をきたすだけでなく、法律的なトラブルに発展する恐れもあります。

 

そのため、重要な書類は耐久性の高いフォルダやデジタルアーカイブを活用し、厳重に保管することが重要です。

 

分類2:10年間保存する書類

 

10年間の保存が義務付けられている書類には、主に税務や会計に関わるものが含まれます。例えば、決算書や総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳などの会計帳簿は、法人税法に基づき10年間の保存が必要です。

 

また、これらの書類は税務調査の際に提出を求められることが多いため、管理が不十分だと罰則やペナルティを受ける可能性があります。同じタイミングで使用することの多い、取引先との請求書や領収書、契約書などもまとめて10年間の保存をしておくことがおすすめです。

 

これらの書類は財務データの正確性を証明するためだけでなく、企業の透明性を保つための重要な役割を果たします。そのため、保存期間中に適切に分類し、必要時にすぐに取り出せるよう整理することが必要です。

 

分類3:7年間保存する書類

 

7年間保存が求められる書類には、主に所得税法に基づくものがあります。例えば、請求書や領収書、契約書がこれに該当します。上記の分類でまとめて10年間の保存がおすすめですが、管理する場所の容量に課題がある場合は、7年間保存する書類としてまとめておくことがおすすめです。

 

これらの書類は、特に税務調査や監査が行われた際に必要となる場合が多く、法的なトラブルを防ぐためにも適切に保管することが重要です。ただし、保存期限を迎えた書類を処分する際には、個人情報や機密情報が含まれていないかを十分に確認し、適切な手段で処分する必要があります。特に、シュレッダーの使用や専門業者への依頼など、情報漏洩を防ぐための対策をしておきましょう。

 

分類4:給与関係の書類

 

給与関係の書類は、労働基準法や所得税法に基づき、適切に管理しなければなりません。具体的には、給与台帳、源泉徴収票、扶養控除申告書、社会保険や厚生年金に関する記録などが該当します。

 

給与関係の書類は、従業員の働き方や給与支払いの透明性を証明するためのものであり、労務管理の信頼性を支える重要な役割を担っています。また、給与に関する問題が発生した場合、迅速かつ正確に対応するためには、給与関係の書類が正しく保管されていることが大切です。

 

さらに、法定の保存期間を守ることが求められるため、定期的な確認や整理が必要です。これにより、従業員とのトラブルを未然に防ぐとともに、企業全体の法令遵守意識を高めることができます。

経理の書類整理の進め方

経理の書類整理は以下の流れで進めていきましょう。

 

  • step1:すべての書類を取り出す
  • step2:書類を分類する
  • step3:不要な書類は適切に処分する

 

ここでは、それぞれのステップについて具体的に紹介していきます。

 

step1:すべての書類を取り出す

 

経理の書類整理を始める第一歩は、保管場所にあるすべての書類を取り出し、一箇所に集めることです。これにより、現時点で保管している書類の全体像を把握でき、散らばった書類が見落とされるリスクを防ぎます。

 

この作業では、長期間放置されていた書類や不要なものが混在していることが多いため、一旦すべてを確認することが重要です。また、ファイルやバインダーの中身も全て取り出し、書類の劣化や損傷がないかをチェックします。

 

すべての書類を把握する段階では、書類の内容を詳しく確認する必要はありませんが、どのような種類の書類がどれくらいあるのかを大まかに把握しておくと、後の分類作業がスムーズに進みます。

 

step2:書類を分類する

 

すべての書類を取り出した後は、それらを種類や保存期間に基づいて分類する作業に取りかかります。まず、法律上保存が義務付けられている書類と、参考資料として保管しておきたい書類を分けることが大切です。

 

例えば、税務関連書類、契約書、給与関係の書類など、それぞれの保存期間に応じたカテゴリを作ると管理がしやすくなります。また、分類の際には、作成日や取引先の名前、内容に応じて細かく仕分けることで、後から必要な書類をすばやく見つけられるようになります。

 

デジタルツールを活用し、目録やリストを作成するのもおすすめです。分類のポイントは、不要なものと必要なものを明確に分け、整理の基準を統一することにあります。分類を丁寧に行うことで、書類管理の効率性が大きく向上します。

 

step3:不要な書類は適切に処分する

 

分類作業の結果、不要と判断された書類は速やかに適切な方法で処分することが重要です。これには、法律で定められた保存期間を満たした後の書類や、重複している記録、現在では使用しない参考資料などが含まれます。

 

ただし、処分する際には書類に記載されている情報に注意を払い、個人情報や機密情報が外部に漏れないよう十分に配慮する必要があります。シュレッダーを使用して細断する、もしくは専門業者に依頼して安全に廃棄するなど、適切な手段を選びましょう。

 

また、書類を処分する前に、デジタル化して必要な情報を保存しておくと、物理的な保管スペースを減らしつつ、後で確認が必要になった場合にも対応できます。

経理の書類整理における極意

経理の勝利整理における極意やコツとして以下のような点があります。

 

  • スケジュールを決めて整理する
  • 丁寧にやりすぎない
  • 時には捨てる勇気も大事
  • 経理代行会社に相談する

 

ここでは、それぞれの極意におけるポイントや注意点を詳しく解説します。

 

スケジュールを決めて整理する

 

経理の書類整理を効率的に進めるためには、明確なスケジュールを設定することが大切です。書類整理は時間と手間がかかる作業であるため、全てを一度に終わらせようとすると負担が大きくなり、かえって中途半端な結果になりがちです。

 

そのため、まずは整理すべき範囲を細分化し、1日や1週間ごとに進める項目を具体的に決めておくと効果的です。例えば、月初や月末、あるいは四半期ごとに定期的な整理の時間を確保する習慣をつけると、書類が溜まりすぎることを防げます。

 

また、スケジュールに従って整理することで、業務の優先順位を明確にし、他のタスクとのバランスを取りながら効率的に進めることができます。

 

丁寧にやりすぎない

 

書類整理を行う際に、完璧を追求しすぎてしまうと、かえって時間がかかり、業務の効率が低下してしまいます。確かに正確さは大切ですが、すべてを完璧に整えることが目的ではありません。

 

特に、経理書類は一定の保存期間が過ぎれば処分できるものが多いため、見た目の美しさや細部にこだわりすぎる必要はありません。例えば、書類を内容や年度ごとにざっくりと分類するだけでも、業務に支障がない場合があります。

 

また、日々の業務に追われている中で、細かい作業に時間を割くことは、他の重要なコア業務に悪影響を及ぼす可能性もあります。重要なのは、実用的で管理しやすい状態を目指し、効率よく作業を進めることです。丁寧さと効率のバランスを意識することが、書類整理を成功させるポイントです。

 

 

時には捨てる勇気も大事

 

経理書類の整理では、不要なものを捨てる勇気が求められます。法律で定められた保存期間を超えた書類や、すでに使われる予定のない書類をいつまでも保管していると、スペースを圧迫し、必要な書類を探す手間が増える原因になります。

 

特に、古い請求書や領収書、更新が完了した契約書などは、保管義務を満たした時点で適切に処分することがおすすめです。また、捨てるべき書類と保存すべき書類の区別をつけるため、はじめから基準を設けておくことも重要です。

 

処分をためらい、すべてを保管してしまうと、結果的に管理が複雑化し、整理の意味が薄れてしまいます。そのため、適切な判断で不要な書類を処分することで、業務の効率化やストレスの軽減につながります。

 

経理代行会社に相談する

 

経理の書類整理に悩んだ際には、専門の経理代行会社に相談することもひとつの手です。経理業務には高度な専門知識が求められる場合が多く、整理が進まないことで日常業務に支障をきたすこともあります。

 

経理代行会社は書類整理の経験やノウハウを持ち、効率的な管理方法や保存基準を的確にアドバイスしてくれるため、時間や労力を大幅に節約することができます。また、書類のデジタル化やクラウドサービスを活用した管理システムの導入についてもアドバイスを受けることが可能です。

 

特に中小企業や個人事業主にとっては、専門家の力を借りることで、日常の負担を軽減しながら、法令遵守や業務効率化を実現できるという大きなメリットがあります。

 

弊社では、経理代行と記帳代行サービスのビズネコを提供しています。日常的な記帳業務だけではなく、会計ソフトの導入支援から財務のコンサルティングまで幅広く対応が可能です。まずは、お気軽にお問い合わせください。

 

まとめ

経理の書類が煩雑な状態では、業務が滞るだけではなく、不正やミスによる信頼の低下などのリスクが伴います。そのため、適切に経理書類を整理しておくことが大切です。経理の書類整理術の基本は「保存期間」と「種類」にわけられます。

 

まずは、バラバラになった書類を洗い出し、分類ごとに整理していきましょう。そして、不要な書類を適切に処分していくことで、書類を整理することができます。しかし、書類整理の時間がとりづらい企業も多いでしょう。そのような場合は、経理代行会社に相談することもひとつの手です。

 

弊社では、経理代行と記帳代行サービスのビズネコを提供しています。日常的な記帳業務だけではなく、会計ソフトの導入支援から財務のコンサルティングまで幅広く対応が可能です。まずは、お気軽にお問い合わせください。

 

経理の書類整理に関するよくあるご質問

経理の書類整理についてのお問い合わせを多くいただきます。ここでは、経理の書類整理に関するよくあるご質問についてまとめて紹介します。

書類整理の目的は何ですか?

書類整理の目的は、必要な書類を迅速に取り出せるようにすることで業務効率を向上させることにあります。さらに、法令遵守や税務監査への対応をスムーズに行い、情報の漏洩や紛失を防ぐためでもあります。また、整理された環境は、経理業務の透明性や正確性を高め、トラブルの発生リスクを軽減する役割も果たします。

経理書類の処分方法はどうすればいいですか?

経理書類を処分する際は、保存期間を確認した上で、シュレッダーを使用して細断するか、専門の廃棄業者に依頼するのが安全です。特に、個人情報や機密情報が記載された書類は、不正利用を防ぐために確実な処分方法を選びましょう。また、処分前に必要なデータをデジタル化して保存することもおすすめです。

書類の断捨離のコツはありますか?

書類の断捨離では、保存期限や利用頻度を基準に取捨選択を行うことがコツです。まず、法的に保存が必要な書類を確保し、それ以外は「いつ使ったか?」を目安に仕分けます。また、必要な情報を電子データとして残せば、紙の書類を大幅に削減できます。基準やルールを設定して判断することで、効率的に断捨離が進みます。

この記事の監修者

菊池 星

菊池 星

東北大学卒業後に野村證券株式会社入社。資産運用における法人営業成績では同世代で全国1位を獲得し、その後中小企業向けの財務コンサルタントに選抜される。2021年からは、金融・ITコンサルタントとして企業向けに活動を始め、2022年6月から株式会社 full houseをスタートさせる。コンサルティングの経験から、代表取締役として、経理代行・アウトソーシングの「ビズネコ」を事業展開している。