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決算期は変更できる?メリット・デメリットや手続きの流れと決め方のポイントを解説
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決算期は変更できる?メリット・デメリットや手続きの流れと決め方のポイントを解説

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企業の経営状況や事業環境の変化に合わせて、決算期を見直す動きは珍しくありません。例えば、繁忙期と決算業務が重なって負担が大きい場合や、グループ会社内で決算月を統一したい場合、あるいは資金繰りや税負担を平準化したい場合など、決算期の変更は経営上の柔軟性を高める手段としておすすめです。

 

一方で、定款変更の手続きや登記の対応が必要になるほか、初年度は前期との比較が難しくなるなど、注意すべき点も少なくありません。本記事では、決算期は本当に変更できるのかという基本から、具体的な手続きの流れ、メリット・デメリット、決め方のポイントまでわかりやすく解説します。

 

決算期は変更できる

決算期は会社の判断で変更できます。例えば、現在の決算月が繁忙期と重なり、毎年の事務作業が負担になっている場合や、グループ会社間で決算月を統一したい場合など、経営環境に合わせて柔軟に見直すことが可能です。

 

決算期の変更は定款の修正という正式な手続きを伴いますが、会社の状況に合わせて事業運営をより効率的に進めるためにもおすすめです。特に、資金繰りの平準化や会計処理の見直しを進めたい企業にとっては、決算期の調整が働きやすい仕組みづくりにもつながります。ただし、変更にあたっては、税務申告の影響や社内スケジュールとの整合性も考慮する必要があるため、事前に準備を整えることでスムーズに進めることができます。

決算期の変更に必要な手続きと流れ

決算期の変更は以下の流れで進みます。

 

  • step1:株主総会で定款を変更する
  • step2:特別議会の議事録を作成する
  • step3:異動届出書を提出する

 

ここでは、それぞれの手続きの流れについて詳しく解説します。

 

step1:株主総会で定款を変更する

 

定款の変更は決算期を見直す際に必ず行うべき手続きです。例えば、事業規模が拡大して業務の繁忙期と決算業務が重なり負担が増している場合、会社の実態に合わせて決算月を変更するには、まず株主総会で定款の規定を改める決議が必要になります。

 

定款変更のステップは法的な根拠を伴うため形式を整えることが欠かせず、議決方法や通知の扱いにも注意が求められます。決算月は会社運営の根幹に関わる項目であるため、変更には株主の理解と承認が不可欠です。スムーズに進めるためには、変更の理由や今後の見通しを事前に整理し、関係者に説明しておくことが効果的です。

 

step2:特別議会の議事録を作成する

 

特別議事録の作成は、決算期変更の決議内容を正式な記録として残すために欠かせない工程です。例えば、株主総会で決算月を改める議案が承認された場合、その内容を正確に文章として記録し、後から確認できる状態にしておく必要があります。

 

議事録は法務局や税務署への手続きにも使用するため、記載漏れや表現の不備があると再提出が求められることもあります。特別決議に関する記録は、会社の重要な意思決定の根拠となるものであるため、議長名や出席者の状況、決議事項の詳細などを丁寧にまとめる姿勢が求められます。変更手続きを円滑に進めるためにも、議事録の作成は慎重に取り組むことが大切です。

 

step3:異動届出書を提出する

 

異動届出書の提出は、決算期を正式に変更したことを関係各所へ伝えるための重要な締めくくりの手続きです。例えば、定款の変更と議事録の作成が終わったとしても、その内容を税務署や自治体へ届け出なければ、実務上の決算月は変わりません。提出先や記載内容には一定のルールがあるため、事前に必要書類を整理し、適切な時期に届け出ることが求められます。

 

また、届出のタイミングによっては申告期限や次年度の業務スケジュールに影響が出ることもあるため、全体の流れを意識しながら準備を進めることが大切です。決算期変更の手続きを確実に完了させるためには、提出作業をミスなく進める必要があります。

決算期を変更するメリット

決算期を変更するメリットとして、以下のような点があげられます。

 

  • 節税や資金繰りの調整がしやすくなる
  • 繁忙期を避けて決算業務ができる
  • グループ会社との決算期の統一が可能になる
  • 実態に即した業績評価や経営管理になる
  • 会計事務所や監査法人との調整がしやすくなる

 

ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

 

節税や資金繰りの調整がしやすくなる

 

節税や資金繰りの調整がしやすくなることは、決算期を変更するメリットです。例えば、売上が特定の時期に集中する事業では、決算月によって利益の出方が大きく変わり、税負担や納税のタイミングにも影響が及びます。決算期を見直すことで、数字の偏りを緩和し、納税資金の確保を計画的に進めやすくなります。

 

また、繁忙期と決算が重なると資金繰りの判断が遅れがちになりますが、時期をずらすことで経理部門と経営陣が余裕を持って財務状況を把握できるようになります。結果として、会社全体の資金運用をより安定させるための選択肢が広がる点が魅力です。

 

なお、決算業務については、こちらの記事も参考にしてください。

 

決算とは?行う目的・業務の流れ・時期・必要書類・やり方を解説!
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繁忙期を避けて決算業務ができる

 

繁忙期を避けて決算業務を行えることは、業務負担を軽減するうえでメリットです。例えば、販売シーズンや製造のピークが年度末に重なる企業では、通常業務と決算作業が同時進行となり、担当者の負担が大きくなりがちです。決算期を変更することで、余裕のある時期に締め作業を行えるようになり、資料の整理や取引確認もスムーズに進められます。

 

また、業務全体に無理が生じにくくなり、ミスの防止や処理の精度向上にもつながります。結果として、会社の実態に合わせて決算月を調整することは、働く環境の改善にもつながり、業務の質を保ちながら安定した運営を実現しやすくなります。

 

グループ会社との決算期の統一が可能になる

 

グループ会社との決算期を統一できる点は、経営管理を整理するうえで効果的です。例えば、複数の関連会社を抱える企業では、それぞれの決算月が異なると連結決算の準備に時間がかかり、資料の取りまとめや数値の整合性の確認が複雑になりがちです。

 

決算期を合わせることで、グループ全体の財務情報を同じタイミングで把握でき、業績管理や予算策定の流れもスムーズになります。また、各社が共通のスケジュールで動くため、担当者間の連携や情報共有もしやすくなります。グループ経営を強化したい企業にとって、決算期の統一は合理的な運営体制を築くためのおすすめな手段といえます。

 

なお、グループ会社を含めた連結決算については、こちらの記事も参考にしてください。

 

連結決算とは?対象となる企業や業務の流れとメリット・デメリットを解説
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実態に即した業績評価や経営管理になる

 

実態に即した業績評価や経営管理ができるようになる点も、決算期変更のメリットです。例えば、事業のピークが年度途中にある企業では、現在の決算月が実際の業績推移と合わず、評価や予算管理がしにくくなることがあります。

 

決算期を見直せば、繁忙期や閑散期の流れに合わせて業績を捉えられるようになり、より正確な経営判断につながります。また、現場の活動量と数値の動きが一致しやすくなるため、改善策の検討にも役立ちます。会社の動きに沿った決算月を設定することは、経営の中身をより明確にし、将来の計画を立てる際にも効果的です。

 

会計事務所や監査法人との調整がしやすくなる

 

会計事務所や監査法人との調整がしやすくなる点も、決算期を変更する際のメリットです。例えば、業界で決算が集中する時期に合わせている企業では、担当者のスケジュールが取りにくく、資料の確認や監査の予定が思うように進まないことがあります。

 

決算月をずらすことで、比較的落ち着いた時期に対応してもらえるようになり、コミュニケーションも円滑になります。また、相談や確認の時間を確保しやすくなるため、会計処理の精度向上にもつながります。そのため、外部の専門家と協力しながら業務を進める企業にとって、適切な決算期の設定は効果的だといえるでしょう。

 

なお、会計監査の流れについては、こちらの記事も参考にしてください。

 

会計監査とは?種類・実施時期・流れ・スムーズに進めるポイントを解説
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決算期を変更するデメリット

決算期を変更するデメリットとして、以下のような点があります。

 

  • 変更手続きや登記の手間が発生する
  • 初年度は前期との業績比較が難しくなる
  • 税務申告のスケジュールが一時的に複雑化する
  • 金融機関や取引先への説明が必要になる
  • 新しい決算期にあった業務フローの改善が必要になる

 

ここでは、それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

 

変更手続きや登記の手間が発生する

 

決算期を変更すると、必ず手続きや登記の対応が発生します。例えば、定款変更を決議した後には、法務局への申請や書類の整備が必要となり、通常業務の合間に準備を進めなければなりません。書類の形式や期限にもルールがあるため、慣れていない場合は確認作業に時間を取られることもあります。

 

さらに、税務署や自治体への届け出も並行して行う必要があり、関係先ごとに提出内容が異なる点にも注意が求められます。こうした一連の手続きは会社の規模に関わらず必ず発生するため、事前にスケジュールを整理し、担当者の負担を見据えた準備が重要になります。

 

初年度は前期との業績比較が難しくなる

 

決算期を変えると、初年度は前期との業績比較が難しくなります。例えば、変更によって決算期間が短くなったり長くなったりすると、売上や費用の数字が通常の年度と一致せず、単純な前期比では実態を把握しにくくなります。管理会計の資料や予算との比較にもズレが生じるため、分析には補足説明が欠かせません。

 

また、社内での評価や事業計画の検討にも影響が出る場合があり、関係者が数値の背景を正しく理解することが求められます。こうした一時的な比較の難しさは避けられませんが、変更後の年度を基準に整備し直すことで次年度以降は徐々に安定していきます。

 

税務申告のスケジュールが一時的に複雑化する

 

税務申告のスケジュールが一時的に複雑になる点も、決算期変更のデメリットです。例えば、変更により決算期が前倒しや後ろ倒しになると、その年度の税務申告の期限が通常と異なるため、資料作成や確認作業のタイミングを調整する必要があります。税務署への届出内容も変わるため、書類の準備とスケジュール管理は普段以上に慎重さが求められます。

 

また、法人税や消費税の申告に関わる期間がずれることで、会計処理の確認作業が増える場合もあります。こうした一時的な負担は避けがたいものの、変更後の流れが定着すれば通常どおりのペースに戻るため、過渡期を意識して準備することが重要です。

 

金融機関や取引先への説明が必要になる

 

決算期を変更すると、金融機関や取引先への説明が求められる場面があります。例えば、融資を受けている企業では、決算書を基に信用状態を確認されるため、決算期が変わることで資料提出のタイミングが変動し、担当者から理由の説明を求められることがあります。

 

また、取引先との契約の中には決算月に絡む取り決めがある場合もあり、変更によって影響が出るケースも考えられます。理解を得るためには、変更の背景や今後の見通しを丁寧に伝えることが大切です。社外との関係維持を円滑に行うためにも、コミュニケーションに時間を確保する姿勢が求められます。

 

新しい決算期にあった業務フローの改善が必要になる

 

新しい決算期に合わせて業務フローを見直す必要が生じる点も、変更のデメリットといえます。例えば、経理部門の月次締めや棚卸しのタイミングは決算月を基準に組まれていることが多く、変更によって作業の順序や時期を再設定しなければならないことがあります。

 

また、他部門との連携が必要な業務では、新しいスケジュールに慣れるまで調整が発生し、一定の負担がかかる場合もあります。スムーズに移行するためには、社内全体でスケジュールを共有し、改善点を洗い出しながら運用体制を整えていく取り組みが重要です。決算期の変更は一度きりですが、その後の安定した運営のための準備が欠かせません。

 

なお、経理の業務フロー改善については、以下の記事も参考にしてください。

 

経理の業務フローとは?作成手順や効率化のポイントを解説
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決算期変更の注意点や決め方のポイント

決算期変更の注意点や決め方のポイントとして、以下のような点を意識しましょう。

 

  • 業界の慣習を確認して決める
  • 人事評価や予算管理など社内サイクルを意識する
  • 新入社員の4月入社も考慮する
  • 繁忙期を避けて設定する
  • 監査や税務調査の時期を考慮する

 

ここでは、それぞれのポイントについて具体的に解説します。

 

業界の慣習を確認して決める

 

業界の慣習を確認することが決算期を決めるうえで重要です。例えば、小売業では繁忙期が年度末に集中する場合が多く、その時期を避けて決算期が設定される傾向があります。このように、同じ業界で多くの企業が採用している決算期を参考にすることで、取引先との業務スケジュールが合わせやすくなり、財務情報の整合性も保ちやすくなります。

 

また、慣習に沿っておくことで金融機関や監査人との調整も円滑に進むため、結果的に企業運営の負担を軽減し、無理のない決算体制を整えることにつながります。

 

人事評価や予算管理など社内サイクルを意識する

 

人事評価や予算管理のサイクルを意識して決算期を決めることが合理的です。例えば、多くの企業では4月に組織体制が変わり、人事評価や予算の策定も同じ時期に行われます。社内サイクルに決算期が合っていないと、経営数値と評価制度のタイミングがずれてしまい、現場の成果を反映しにくくなる場合があります。

 

決算期を社内の運用と近づけることで、部門別の業績把握がしやすくなり、年間計画の立案もスムーズになります。結果として管理体制全体の整合性が高まり、無駄な事務負担を抑えながら経営判断の質を高めることにつながります。

 

新入社員の4月入社も考慮する

 

新入社員の4月入社を考慮して決算期を設定することは、業務の負荷分散に役立ちます。例えば、新卒社員が入社するタイミングは教育や研修で人事や総務だけではなく、現場が多忙になりますが、その時期に決算業務が重なると教育体制が十分に取れない可能性があります。

 

また、新入社員自身も決算の繁忙に巻き込まれると、基本業務に慣れる前に高度な作業が求められる状況になりかねません。決算期をずらしておけば、組織全体が新しい体制に落ち着いてから決算の準備に入ることができ、より安定した運営と人材育成の両立が実現します。

 

繁忙期を避けて設定する

 

繁忙期を避けて決算期を設定することは、業務の集中を防ぐために大切です。例えば、製造業であれば年度末の受注が増える時期、サービス業であれば特定の季節イベントなど、特に忙しさが変動する時期が存在します。ここに決算業務が重なると、現場も管理部門も余裕がなくなり、ミスや対応遅れが起こりやすくなります。

 

決算期は繁忙期を避けて設定することが基本ですが、あえて売上が多い月を期首に置くという考え方もあります。例えば、繁忙月を期首に設定すると、年度の最初に売上が積み上がり、資金計画を立てやすいというメリットがあります。

 

このように、決算は準備や確認作業に時間を要するため、通常業務が落ち着く時期に合わせることで、作業の質も向上し、全体の負担を抑えることができます。結果として、無理のないスケジュールで正確な決算を行える体制が整います。

 

監査や税務調査の時期を考慮する

 

監査や税務調査の時期を踏まえて決算期を決めることは、企業運営の安定につながります。例えば、監査法人が繁忙期となる3月決算や12月決算は、資料提出のタイミングが重なりやすく、対応が遅れがちになります。

 

また、税務調査も特定の時期に集中する傾向があるため、決算期とぶつかると社内の事務負担が増える可能性があります。これらを避けてスケジュールを組むことで、必要な資料の準備や調整も落ち着いて行うことができ、社内の負担を最小限に抑えることができます。結果として、精度の高い決算とスムーズな外部対応の両立がしやすくなります。

まとめ

決算期の変更は、会社の状況に合わせて事業運営を最適化するためにおすすめです。例えば、繁忙期と決算作業が重なり毎年の負担が増えている場合や、資金繰りや税務対応を平準化したいと考える場合など、見直すことで得られる効果は少なくありません。

 

一方で、手続きや登記が必要になったり、初年度は業績比較が難しくなるなど、慎重に整理すべき点も存在します。だからこそ、業界の慣習や社内サイクル、監査対応のタイミングなどを踏まえ、自社にとって無理のない決算期を設定することが重要になります。なお、決算業務の多忙さは、経理代行会社に相談することもひとつの手です。

 

弊社では、経理代行と記帳代行サービスのビズネコを提供しています。日常的な記帳業務だけではなく、会計ソフトの導入支援から財務のコンサルティングまで幅広く対応が可能です。まずは、お気軽にお問い合わせください。

決算期の変更に関するよくあるご質問

決算期の変更についてのお問い合わせを多くいただきます。ここでは、決算期の変更に関するよくあるご質問についてまとめて紹介します。

決算期を変更するメリットは何ですか?

決算期を変更するメリットは、経営環境や事業状況に合わせて柔軟に財務管理ができる点です。繁忙期を避けて決算業務を行えば、資料整理や確認作業の負担が軽減され、ミスも減らせます。また、資金繰りや税負担の平準化が可能になり、グループ会社との決算期統一や業績評価の精度向上にもつながります。

決算期を変更するデメリットは何ですか?

決算期を変更するデメリットは、手続きや登記の手間が発生し、初年度は前期との業績比較が難しくなる点です。定款変更や議事録作成、税務署への届出などの作業が必要で、通常業務と並行すると負担が増えます。また、税務申告のスケジュールが一時的に複雑化したり、取引先や金融機関への説明が求められる場合もあります。

決算月をずらすにはどのような手続きを踏みますか?

決算月を変更するには、まず株主総会で定款を変更する決議を行います。定款に定められた決算月を新しい月に改める議案を提出し、承認を得る必要があります。その後、議決内容を記録した特別議事録を作成し、法務局や税務署などに異動届出書を提出して正式に決算期を変更します。手続きは不備のないよう注意しましょう。

この記事の監修者

菊池 星

菊池 星

東北大学卒業後に野村證券株式会社入社。資産運用における法人営業成績では同世代で全国1位を獲得し、その後中小企業向けの財務コンサルタントに選抜される。2021年からは、金融・ITコンサルタントとして企業向けに活動を始め、2022年6月から株式会社 full houseをスタートさせる。コンサルティングの経験から、代表取締役として、経理代行・アウトソーシングの「ビズネコ」を事業展開している。