
記帳代行とは、経理における取引内容を記帳する業務を、外部の業者に委託するサービスのことです。しかし、記帳代行や経理代行会社をこれから探す企業の方にとって、具体的にどのような流れで進んでいくのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、記帳代行を契約するまでの流れと、契約後に依頼するまでの流れをステップごとに紹介します。また、記帳代行へ依頼する際の注意点や記帳代行会社を選ぶ際のポイントも詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
記帳代行に依頼できる業務内容
記帳代行に依頼できる業務内容は、おもに「会計ソフトへの入力」と「試算表や帳簿の作成」です。
会計ソフトの入力としては、領収書や請求書などの証憑書類をもとにして、会計ソフトに入力する作業を代行します。取引内容の仕訳だけではなく、証憑書類の整理や保管などのサポートも行っています。会計ソフトへの入力や仕訳のミスがあると経理業務全体の正確性が損なわれるため、記帳代行会社に依頼することで、正確な会計処理へとつながります。
また、試算表や帳簿の作成も記帳代行サービスの一貫とされることが多いです。会計ソフトに入力されたデータをもとに、試算表や総勘定元帳、決算書を作成します。ただし、帳簿の作成業務は記帳代行ではなく経理代行サービスともされています。
記帳代行については、こちらでもまとめています。

記帳代行を契約するまでの流れ
記帳代行を契約するまでの流れは以下のとおりです。
- step1:記帳代行を依頼する目的を決める
- step2:現状の負担となっている業務を洗い出す
- step3:まずは社内での効率化を考える
- step4:予算とスケジュールを概算で検討する
- step5:記帳代行会社へ見積もりを依頼する
- step6:料金プランを決定して契約スタート
ここでは、それぞれのステップについて詳しく解説していきます。
step1:記帳代行を依頼する目的を決める
記帳代行をスムーズに活用するためには、まずは目的を明確にすることが重要です。単に経理業務を外部に委託するだけではなく、自社にとって何が必要なのかを具体的に考えることが、効果的な依頼につながります。
例えば、日々の仕訳業務の時間を短縮してコア業務に集中したい、税務申告をスムーズに行いたい、帳簿の精度を上げて経営状況を把握したいといった目的が考えられます。このように目的を整理することで、記帳代行会社に具体的な要望を伝えやすくなり、最適なサービスを受けることが可能です。
また、目的を明確にすることで、依頼後の期待値を設定でき、成果をより具体的に評価する指標ともなります。
step2:現状の負担となっている業務を洗い出す
現在の経理業務のなかで、どの作業が特に負担となっているかを具体的に洗い出します。例えば、領収書の整理に時間がかかっている、会計ソフトへの入力ミスが頻発している、月次決算の準備に追われているといった問題点があるかもしれません。
洗い出しを行うことで、記帳代行会社に依頼すべき業務が明確になり、必要なサービスをピンポイントで選択することができます。また、負担を可視化することで、どの部分を外部に委託すべきか、逆にどの部分は社内で対応可能かの判断がつきやすくなります。そのため、記帳代行を有効に活用するための準備段階として欠かせないステップです。
step3:まずは社内での効率化を考える
記帳代行の導入を検討する際には、まず社内業務の効率化を試みることも重要です。例えば、領収書や請求書の保管方法を見直したり、会計ソフトやツールを活用して自動化を図るなどの工夫が考えられます。これにより、単純な改善で解決できる課題を外部に委託せずに済む場合もあります。
また、効率化の結果として、外部に委託すべき業務がより明確になるため、記帳代行会社との打ち合わせもスムーズに進むでしょう。さらに、社内で業務効率を高めることで、記帳代行の利用範囲を最適化でき、コストの削減にもつながります。社内でできる限りの改善を行ったうえで、外部サービスを取り入れることで、より効果的な業務運営が可能になります。
step4:予算とスケジュールを概算で検討する
記帳代行を導入する際の予算とスケジュールを大まかに検討します。記帳代行の料金は、取引件数や依頼する業務の範囲、必要な帳簿の精度などによって異なります。そのため、自社の業務量を把握し、それに応じた適正な予算を設定することが重要です。
特にベンチャー企業やスタートアップ企業の場合、限られた予算内で最大限の効果を得ることを目指す必要があります。また、依頼を開始するタイミングや、どの程度の頻度で業務を依頼するかといったスケジュールも具体的に考える必要があります。これにより、記帳代行会社との打ち合わせがスムーズになり、依頼の開始後も計画的にサービスを利用できます。
step5:記帳代行会社へ見積もりを依頼する
社内の準備が整ったら、具体的な記帳代行会社に見積もりを依頼します。複数の会社に依頼を出すことで、それぞれのサービス内容や料金体系を比較検討することが可能です。見積もり依頼時には、現在の経理業務の状況や委託を希望する業務内容を明確に伝えることが重要です。
また、サービスの業務範囲や納期、サポート体制なども細かく確認し、コストパフォーマンスが高い会社を選ぶのもよいでしょう。特に、クラウド会計ソフトの利用やAI技術の導入など、最新の効率化ツールを活用している会社は、スピードや正確性の面で優れていることが多いです。見積もりを通じて、予算や目的にあった記帳代行会社を探してみましょう。
step6:料金プランを決定して契約スタート
最終的に見積もりをもとに料金プランを選定し、記帳代行会社と正式に契約を結びます。その際、依頼する業務内容やスケジュール、納期などを最終確認し、双方の認識にズレがないようにすることが重要です。
また、初期段階では短期間のトライアルを設けている記帳代行会社もあり、サービスの品質や自社にマッチしているかを確認するのも有効な方法です。契約後は、依頼内容に沿った記帳が始まり、月次試算表の提出や日々の仕訳入力が進むことで、経理担当者の方の負担が大きく軽減されます。適切な料金プランとスムーズな導入を経て、記帳代行を最大限に活用することが可能になります。信頼できる記帳代行会社との連携は、業務効率化と経営力向上への第一歩となるでしょう。
なお、費用対効果のよい記帳代行会社をお探しなら弊社が運営するビズネコもおすすめです。経理代行と記帳代行サービスのビズネコでは、日常的な記帳業務だけではなく、会計ソフトの導入支援から財務のコンサルティングまで幅広く対応が可能です。まずは、お気軽にお問い合わせください。
記帳代行と契約後に依頼するまでの流れ
記帳代行と契約が完了してから、依頼するまでの流れは以下のとおりです。
- step1:送付する書類をチェックする
- step2:追跡可能な手段で送付する
- step3:記帳代行会社が入力をする
- step4:納品物のチェックをする
- step5:月次決算の内容を確認する
- step6:年次決算の内容を確認する
ここでは、それぞれのステップについて詳しく解説します。
step1:送付する書類をチェックする
記帳代行の業務を依頼する前に、まず送付する書類をしっかりとチェックすることが重要です。具体的には、領収書や請求書、通帳のコピー、クレジットカードの明細書などが含まれます。それぞれの書類が揃っているか、不足や不備がないかを確認し、記載内容が正確であることを確かめましょう。
また、書類の整理整頓もおすすめです。取引ごとに分類したり、日付順に並べることで、記帳代行会社の作業効率が向上します。さらに、特別な注意が必要な取引や経費については、補足情報を添えることで、入力ミスや誤解を防ぐことができます。なお、機密情報や個人情報が含まれるので、送り先の住所やメールアドレスを間違いないようにしてください。
step2:追跡可能な手段で送付する
書類をチェックしたら、それを記帳代行会社へ送付しますが、その際には必ず追跡可能な手段を選びましょう。郵送の場合、追跡番号のある配送方法を利用すると、紛失リスクを低減できます。
また、電子データでの送付が可能であれば、クラウドストレージやセキュリティ対策の整ったファイル共有サービスを利用するのがおすすめです。電子データの送付は効率的なだけでなく、データの紛失や改ざんリスクを軽減し、記帳代行会社の作業スピードを高めます。
さらに、送付時には何を送ったかを記録しておくことも大切です。これにより、後で確認が必要な際に迅速に対応でき、やり取りがスムーズになります。
step3:記帳代行会社が入力をする
書類が記帳代行会社に届いた後は、会社の専門スタッフがその情報をもとにデータ入力を行います。領収書や請求書などの内容を会計ソフトに正確に入力し、取引ごとの仕訳を作成します。
最近では、AIやクラウド会計ソフトを用いる会社も多く、これによりデータ入力のスピードや正確性が向上しています。特に、繰り返し発生する取引や自動仕訳の機能を活用することで、短期間で高品質な帳簿作成が可能です。
入力作業の過程で、書類に不備や不明点があった場合は速やかに連絡があり、解決策を提案してくれるため、安心して任せることができます。入力や仕訳の段階での精度が、最終的な帳簿の質を大きく左右します。
step4:納品物のチェックをする
記帳代行会社が入力を完了したら、作成された帳簿や試算表などの納品物をチェックします。納品物の内容が正確であるか、特に重要な取引や数値に誤りがないかを確認しましょう。
チェック作業には、自社で管理している取引記録や元の書類と照らし合わせる作業が含まれます。また、疑問点があれば早めに記帳代行会社へ問い合わせを行い、修正や説明を求めることが大切です。
定期的にチェックを行うことで、帳簿全体の精度を保ちつつ、問題が拡大するのを防げます。記帳代行は信頼できるサービスですが、納品物の確認を怠らず、自社でも内容を把握しておくことが、より良い結果を生むことにつながります。
step5:月次決算の内容を確認する
月次決算は一般的に経理代行会社の仕事ですが、記帳代行会社が月次決算を請け負うことも多くあります。記帳代行会社が月次決算を行う場合、完成した月次決算書を確認する業務が発生します。
月次決算書は、収益や費用の状況を把握し、経営の方向性を見直す重要な資料です。作成された試算表には、収支や資産状況、負債の動きが反映されており、決算書の内容を確認することで、経営者としての判断材料が得られます。
また、月ごとの変動やトレンドを分析することで、改善点や新たな戦略のアイデアが浮かぶこともあるでしょう。そのため、月次決算は記帳代行会社に依頼できますが、内容の把握は経理担当者および経営者で行うことで効果的な企業の運営につながります。
step6:年次決算の内容を確認する
年次決算も一般的には経理代行会社に依頼することが多いですが、記帳代行会社でも請け負ってくれることがあります。年次決算では、損益計算書や貸借対照表が作成され、1年間の経営成績や財務状況が詳細に示されます。これらをもとに、税務申告や金融機関への報告が行われるため、内容の正確さが極めて重要です。
企業の経理担当者の方は、記帳代行会社が作成したデータを確認し、不明点や修正が必要な箇所があれば速やかに対応を依頼しましょう。特に、税務署への申告書類としての正確性を確認することは、企業の信用にも関わります。年次決算の内容をしっかり確認することで、経営の現状を把握し、次年度への戦略を練るための基盤を整えることができます。
記帳代行を依頼する際の注意点と選び方のポイント
記帳代行を業者へ依頼する際の注意点と記帳代行会社を選ぶ際のポイントとして、以下のような点があげられます。
- 安さだけで選ばないようにする
- 社内での確認者が必要な点を考慮する
- 丸投げできる業者を検討する
ここでは、それぞれの注意点とポイントについて詳しく解説していきます。
安さだけで選ばないようにする
記帳代行を依頼する際に、料金の安さだけで業者を選ぶのは避けるべきです。確かに予算の制約がある中でコストを抑えることは重要ですが、低料金のサービスが必ずしも高品質な記帳代行を提供するとは限りません。
料金が安すぎる場合、スタッフの経験やスキルが不足していたり、作業が不正確だったりする可能性があります。また、安さを優先すると、サービスの範囲が限られていることも多く、結果的に追加のコストや手間が発生することがあります。
記帳代行は正確さと信頼性が求められる業務であり、業者選びにおいては料金だけでなく、提供されるサービスの内容、サポート体制、自社との相性を総合的に評価することが大切です。
社内での確認者が必要な点を考慮する
記帳代行を依頼した場合でも、社内で帳簿や試算表の内容を確認する担当者を置く必要があります。外部に業務を委託することで多くの作業負担が軽減される一方で、最終的な責任は依頼者側にあるため、納品物の内容をしっかり確認する体制を整える必要があります。
特に、経費の分類や取引の記録に間違いがないか、重要な取引が漏れていないかをチェックする役割は、社内の方に任せておきましょう。これにより、ミスやトラブルの早期発見が可能となり、経営上のリスクを最小限に抑えられます。
また、確認作業を通じて、記帳代行業者とのコミュニケーションも円滑に進むようになります。
丸投げできる業者を検討する
記帳代行業者を選ぶ際には、安心して丸投げできる業者を検討することもポイントです。多忙な経営者の方や経理担当者の方にとって、記帳業務に関わる細かい手配や調整を極力減らすことが、時間と労力の節約につながります。そのためには、領収書や請求書の整理から会計ソフトへの入力、さらに月次決算や年次決算まで一貫して対応できる業者を選ぶことが重要です。
また、対応スピードやサポート体制も選定基準に含めるべきポイントです。たとえば、不明点や緊急の問い合わせに迅速に対応してくれる業者であれば、安心して業務を任せることができます。
ただし、丸投げできる業者を選ぶ場合でも、完全に任せきりにするのではなく、業務内容や帳簿の進捗を定期的に確認し、透明性を保つことが必要です。信頼できる記帳代行会社を選ぶことで、記帳代行の効果を最大限に引き出すことが可能となります。
まとめ
記帳代行会社と契約するまでの流れは、依頼する目的を決めて社内で負担となっている業務の洗い出しから行うことが大切です。そして、社内での効率化を考えて難しいようであれば、予算とスケジュールを決めて記帳代行会社へ見積もりを依頼します。自社の要望とマッチする記帳代行会社が見つかったら契約へ移ります。
記帳代行会社との契約後の流れとしては、送付する書類をチェックして、安全な手段で送りましょう。記帳代行会社は入力や仕訳を行い、納品物を確認していきます。また、記帳代行会社が月次決算や年次決算を請け負っている場合は、内容のチェックと今後の事業戦略を練っていきましょう。
記帳代行会社を選ぶ際には、丸投げできる業者を選ぶこともポイントです。弊社では、経理代行と記帳代行サービスのビズネコを提供しています。日常的な記帳業務だけではなく、会計ソフトの導入支援から財務のコンサルティングまで幅広く対応が可能です。まずは、お気軽にお問い合わせください。
記帳代行の流れに関するよくあるご質問
記帳代行の流れについてのお問い合わせを多くいただきます。ここでは、記帳代行の流れに関するよくあるご質問についてまとめて紹介します。
記帳代行に必要な書類は何ですか?
記帳代行に必要な書類は、企業の取引や経費に関する情報が記録されたものです。具体的には、領収書や請求書、通帳のコピー、クレジットカードの利用明細、売上や仕入れの明細などがあげられます。また、給与明細や社会保険料の支払いに関する書類も必要になる場合があります。
記帳代行にリスクはありますか?
記帳代行を利用する際の主なリスクは、情報漏洩や帳簿の不正確さが挙げられます。特に機密性の高い経理情報を外部に預けるため、セキュリティ対策が不十分な業者に依頼すると、情報が流出する危険性があります。また、業者のスキルや経験が不足していると、記帳ミスや税務申告に影響が出る場合があります。
記帳代行は違法ですか?
記帳代行自体は違法ではありません。多くの企業の方が利用する一般的なサービスです。ただし、税理士の資格がない記帳代行会社が、税務申告を直接行うことは、税理士法に抵触します。そのため、記帳代行会社はあくまで帳簿作成やデータ入力までを担当し、税務申告は税理士や税務署が行うことが一般的です。